牛肉は少し高くてちょっと手が出にくい…だからセールしているとついつい買いすぎてしまいますよね。
買いすぎてしまっても大丈夫。牛肉はしっかりと保存することで、あとからでもおいしく食べることが可能です。
しかしそのためには牛肉の正しい保存方法や賞味期限を知っておかなければなりません。
本記事では牛肉の正しい保存方法を解説。ちゃんと冷凍保存し、その賞味期限を把握しておきましょう。
牛肉は冷凍保存がおすすめ!そのメリット
大型パックでお得にまとめ買いできる
お高い牛肉をできるだけ安く購入するには、やはり大型パックをうまく利用したいですよね。
近年では、業務スーパーやコストコと言った業者向けのお店で、大量に安く牛肉をゲットすることも可能に。
生の製品だけでなく、あらかじめ冷凍されているフレーク状の挽き肉や薄切り肉など、使い勝手の良いアイテムもたくさん取り扱われています。
牛肉に下味を付けられる
牛肉をそのまま冷凍するだけでも、冷蔵より長い期間保存できますが、さらに長い期間保存できるのが、下味を付けてから冷凍する方法。
あらかじめ牛肉を調味液に漬けた状態で冷凍すれば、保存している間に味が染み込んでいくので、長時間煮込んだりする必要もありません。
さらに、調味液に浸っていることで酸化が進みにくくなるため、冷凍しておくことができます。
牛肉が柔らかくなる
固い牛肉を柔らかくするには、筋繊維を構成するたんぱく質をどれだけ分解できるかが重要なポイント。
牛肉のたんぱく質を分解する酵素プロテアーゼは、野菜や果物のほか、味噌やヨーグルト、塩麹などに含まれています。
中でも塩麹は塩分量も多いため殺菌作用が高く、牛肉が腐るのを防ぎ、保存期間を伸ばしてくれる働きも。
さらに、酵素がたんぱく質を分解した後のお肉は、アミノ酸の量が増え、旨みがアップしていることも明らかになっています。
牛肉を冷凍保存した時のデメリット
パサつく
冷凍庫でペットボトル飲料を凍らせたことがある方は、ペットボトルが若干膨らんでいるのを見たことがあるかと思いますが、牛肉にもこれと同じことが起こっています。
冷凍すると、牛肉の中の氷の結晶はどんどん大きくなり、細胞膜や細胞壁が壊され、隙間だらけのスカスカ状態に。
そのため、解凍した時に水分が細胞の中から流れ出てしまい、繊維だけが残ったパサパサの触感になってしまうのです。
旨みが抜ける
冷凍した牛肉を解凍した時に流れ出るのは、水分だけではありません。
肉や魚などの食品トレーに溜まっている赤い液体「ドリップ」に含まれているのは、様々な栄養や旨みのもととなる成分。
牛肉をおいしく調理するには、冷凍牛肉の解凍方法を事前にしっかり確認し、このドリップが極力出ないようにする必要があります。
冷凍焼けする
冷凍焼けとは、冷凍していた食品が傷むこと。
具体的には、牛肉に含まれる脂質が空気に触れて起こる酸化を意味しています。
酸化を引き起こす主な原因は空気。
家庭用の冷凍庫は頻繁に開け閉めが行われるため、庫内の温度が上がった際に食品が溶け、水分と栄養が流れ出た細胞の隙間へ空気が入り込んでしまいます。
どんなにしっかり空気を抜いても、僅かな隙間から確実に劣化は進むので、長期間の保存には注意が必要です。
牛肉を冷凍保存するときのポイント
牛肉を冷凍保存する際に抑えておきたいポイントは、大まかに以下の3点。
- 光と空気を遮断する
- 小分け、平らにしておく
- 調味料を利用して水分を抜く
いずれも難しい作業や、特殊な道具が必要という訳でもなく、短時間で終えられるものばかり。
大抵の食品に使えるコツばかりなので、要点を頭に入れておけば、色々なものに応用させることも可能です。
光と空気を遮断する
実は、ほとんどの食品は、空気だけでなく光でも酸化します。
そのため、ラップに包んだ牛肉を、食品用のジッパー付き保存袋に入れる前に、遮光性のある紙かアルミなどで覆っておくとより安心です。
さらに、保冷パックに入れておけば、頻繁に開け閉めされる家庭用冷凍庫でも、温度の変化にさらされずに済みますよ。
小分け、平らにしておく
薄切り肉や切り落とし肉、挽き肉などは、ご家庭でも使う機会の多いアイテム。
小分けにして冷凍しておくと、使いたい時に使いたい分だけ取り出すことができ、余分に解凍してしまうこともありません。
基本的にひとつひとつラップで分けた方が良いですが、挽き肉は平らにしてから菜箸や包丁の背で跡をつけるだけでも、必要な分を折って使うことができて便利です。
調味料を利用して水分を抜く
味付けをしないステーキ類の場合でも一度試してほしいのが、塩を振って出た水分をふき取ってから冷凍する方法。
塩をはじめ、醤油や味噌などの調味料に漬けておくと、浸透圧の作用によって細胞から水分が出ます。
これによって、細胞壁を壊してしまう氷の結晶が大きくなるのを抑えることができるのです。
牛肉を冷凍保存した時の賞味期限
通常、買ってきた牛肉に記載されている消費期限は、2~3日後の日付。
冷凍保存の場合は、
- そのまま冷凍したもの:2~3週間程度
- 下味を付ける処理をしたもの:1か月程度
冷凍庫の奥に入れた牛肉は存在を忘れてしまいがちなので、カレンダーや冷蔵庫の扉に消費する目安の期限を、元の賞味期限と一緒にメモしておくなど、定期的に思い出せるようにしておくと安心です。
牛肉はこんな風に冷凍保存すると便利
砂糖水を使う
下味を付けずに牛肉を冷凍したい場合は、砂糖水を使った冷凍がおすすめです。
- 砂糖1gを水1リットルに入れ、よく溶かす
- 一晩冷凍した牛肉をラップから取り出し、砂糖水にくぐらせる
- ラップに包み直して、再度冷凍する
水と結合しやすい砂糖が、冷凍庫の中で食材の水分が飛んでしまうのを防ぐことによって、牛肉が乾燥から守られるのだそうです。
牛肉を柔らかくする食材を使う
牛肉を柔らかくするプロテアーゼを多く含む食材は、
- 玉ねぎ
- まいたけ
- りんご
どの食材も醤油や味噌、酢といった日持ちをよくしてくれる調味料と相性抜群。
りんごや玉ねぎは、すりおろして焼き肉用のたれと一緒にもみ込んでから冷凍しておくと、安い牛肉でも柔らかくジューシーな味わいになります。
調理してしまう
下味を付けて冷凍する方法でも牛肉を長持ちさせることはできますが、もっと安心なのが調理してから冷凍する方法。
週末にまとめて作り置きしておけば、忙しい平日でも帰って解凍するだけなので、晩ご飯の準備がとても楽になりますよ。
小分けにして冷凍しておけば、お弁当用のおかずとしても使えます。
冷凍牛肉のレシピ
ステーキ
材料:冷凍ステーキ肉、塩・胡椒(適宜)
- フライパンに冷凍ステーキ肉をのせ、蓋をする。
- 強火(※フライパン全体に火があたっていれば最大の火力でなくてOK)で片面2分づつ焼く。
- 火を止めたら、蓋をした状態で余熱で2分火を通す。
- 塩コショウを降り、皿に盛りつける。
美味しいステーキの焼き方は、とにかくゆすったり動かしたりしないこと。
厚さ1㎝の牛肉であれば、両面1分半と予熱2分でミディアムレアの焼き加減になります。
しぐれ煮
材料:牛肉(コマ肉か切り落とし)300g、生姜3かけ程、醤油大さじ4と、みりん大さじ3、酒大さじ3、砂糖大さじ2と1/2
- 鍋に調味料をすべて入れ、軽く混ぜたものに千切りにした生姜を入れる。
- 中火で煮立て、全体的に沸騰してきたら牛肉を入れて木べらか箸でほぐす。
- 弱火で10~12分ほど、煮汁が少なくなるまで煮る。
弱火にしてからは煮汁の量を見つつ、時折全体を混ぜてください。
しぐれ煮は、ごぼうの細切りや玉ねぎが入るレシピもあるので、お好みで合う食材を入れてみてもいいですね。
●ローストビーフ
材料:牛塊肉500g、酒カップ1/2、みりんカップ1/2、、醤油大さじ4、わさび(適宜)、サラダ油少々
- フライパンを十分に熱し、サラダ油をひく。
- 中火に落としたら牛肉を入れ、全ての面に焼き色が付くまでしっかり焼く。
- 大きすぎない厚手の鍋に調味料と牛肉を入れ、蓋をして中火で20分煮る。
- 火を止めて牛肉をひっくり返し、すぐに蓋をして余熱で火を通す。
- 完全に冷えたら鍋から取り出して薄くスライスし、わさびを添える。
ローストビーフは一見手の込んだ料理ですが、焼いた牛肉を調味液に漬け込み、時間をかけて味を染みこませる方法や、炊飯器で煮込む方法など、色々な選択肢があります。
調理器具など、使いやすいものを選んで挑戦してみましょう。
冷凍牛肉のFAQ
冷凍牛肉は再冷凍できる?
一度冷凍し、解凍された時点でかなりドリップが出ているので、再冷凍するとさらに水分と旨みが抜けます。食中毒の原因にもなるので、再冷凍する場合は一度完全に火を通してからにしましょう。
牛肉を冷凍したら変色した
冷凍焼けが原因の変色と思われます。冷凍する時は牛肉を保冷パックに入れるか、冷凍庫の奥の方へ入れましょう。
牛肉の冷凍はパックのままできる?
パックのように牛肉が空気に触れた状態で冷凍すると劣化が早まります。
できるだけラップや保存袋に入れて冷凍することをおすすめします。
長期間冷凍していた牛肉は食べられる?
長期間冷凍されていたものは、解凍によって腐敗菌が増殖する恐れがあります。
冷凍2ヶ月程でも傷む可能性があるので、臭いがするか、黒い斑点など変色があるか、粘りがあるかなどの確認を。
また、買ってきた時点で、いつまでに消費するかを決めておきましょう。
牛肉を離乳食に使ってもいいのはいつから?
牛肉を赤ちゃんに与えるのは、最低でも離乳食初期の終わり、半年以降から。理想は1年以降ですが、厚生労働省の資料によると、離乳食後期の7~8か月で28.7%の保護者が牛肉を与えているようです。
牛肉の冷凍まとめ
- そのまま冷凍なら3週間、下味処理後なら1か月を目安に食べきる
- 光と空気に触れないようにラップ、アルミ、食品用保存袋に入れて冷凍庫の奥に入れる
- 小分けにして冷凍する
- 調味料や野菜などと一緒に下味を付けて保存すると手間が省けて、牛肉も柔らかくなる
上記の冷凍保存方法をしておくことで牛肉の賞味期限を延ばすことができます。
また、牛肉を後からでもおいしく食べることが可能です。
しっかりと牛肉を冷凍保存してくださいね。