わらびの食べ過ぎは体に悪い?わらび中毒になる?

わらびの食べ過ぎは体に悪い?わらび中毒になる?

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日本の至るところに自生しているわらび。山奥に入らなくても比較的身近な場所で採集できる山菜の一つですが、発がん性があるなどの危険性も指摘されています。そんなわらびを食べ過ぎると、どうなるのでしょうか?わらび中毒になるって本当でしょうか?

目次

わらびに含まれる栄養とその効能

わらびは体に良いからというよりも、旬の味覚を楽しむために食べていませんか?あの春の訪れを告げる独特の苦みが味わい深くて、わざわざ面倒なあく抜きをしてでも食べたくなります。しかしわらびは旬を楽しむためだけの食材なのでしょうか?

実はわらびにはブロッコリーのような「万能野菜」というほど突出して含まれる栄養素はありませんが、βカロチンやビタミンE、食物繊維など体にいい栄養素が含まれています。

βカロチン

わらびに比較的多く含まれるβカロチン。体の中に活性酵素が発生するのを抑えて、取り除く働きがあります。
活性酸素とは、私たちの体を錆びつかせて、老化やがんを進行させ、シワ、しみをつくる原因になる酵素です。糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなり、年齢とともに増えていく傾向があります。
βカロチンには、こうした活性酵素による老化を防止する役割のほかに免疫力を高める働きもあります。
またβカロチンには、皮膚や粘膜を健康を保ち、美肌にも効果があるので、美しさを保ちたい女性にはうれしい栄養素。
さらにβカロチンは体の中で一部がビタミンAに変換され、ドライアイを改善したり視力をアップさせたりする効果があります。暗いところで視力が衰える夜盲症にも効果があります。

ビタミンE

わらびに含まれるビタミンEは、ビタミンAなどとならんで抗酸化作用が強いビタミン。その効果は「若返りのビタミン」とも呼ばれるほど。老化防止に大きな効果が期待できます。
また血液の流れを促進する作用もあるので、肩こりや腰痛の改善も期待できます。血液の流れがスムースだと肌の血色がよくなるので、美肌にも効果があります。
さらに血液中のLDLコレステロールを抑える働きがあります。LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロール。増えると動脈硬化の原因となり脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。

ビタミンB2

わらびに含まれるビタミンB2は別名「発育のビタミン」。皮膚や爪、髪の毛などの再生に関わるほか、発育の促進に重要な役割を果たしているビタミンです。このことから、子どもの成長に欠かせない栄養素といわれています。

さらにビタミンB2には、脂質を中心に炭水化物、たんぱく質の三大栄養素の代謝を促進して、効率よくエネルギーに変える働きがあります。そのためにダイエットに効果があり、また生活習慣病の予防や改善にも役立つともいわれています。
わらびにはそのほか葉酸やカリウムが含まれていますが、ビタミンB2をはじめ、これらの栄養素は水に溶けやすいので、あく抜きをすると流れでてしまいますが、多少は残るのといわれています。

食物繊維

わらびには100gあたり3.6gの食物繊維が含まれています。そのうち不溶性食物繊維が2.8g、水溶性食物繊維が0.8g。わらびに含まれる食物繊維の多さは要注目です。

不溶性食物繊維

水に溶けにくい不溶性食物繊維は、胃や腸の中で水分を吸収してふくらみ便の量を増やします。便が増えることで大腸が刺激されてスムースな排便を促し、便秘の解消につながります。また有害物質を吸着して便と一緒に体の外に排出するので、腸をきれいな状態に保ち、大腸がんの予防に効果があるといわれています。

水溶性食物繊維

一方、水に溶けやすい水溶性食物繊維はゼリー状になる性質があるため、便を柔らかくして排泄しやすくします。また腸での栄養の吸収をおだやかにして、血糖値の上昇を抑えるので糖尿病の予防にも効果があります。そのほかコレステロールやナトリウムを便と一緒に排出する働きもあるので高血圧の予防にもなります。

どちらの食物繊維も乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサになるので、腸の中に善玉菌を増やして腸内環境を改善する働きがあります。

ただし不溶性食物繊維を摂りすぎると、お腹が張って苦しくなったり、もともと便秘の人はさらに悪化したりする可能性もあります。

わらびに含まれる不溶性食物繊維は水溶性食物繊維の3.5倍。わらびを食べるときは、水溶性食物繊維が豊富に含まれている昆布やわかめ、こんにゃくなどを一緒に食べることをおすすめします。

わらびに含まれる発がん性物質

さて、わらびは上で紹介したように体に良い栄養素も含んでいますが、強い毒性があることも見逃せません。

実はわらびのあくにはプタキロサイトという発がん性物質が含まれています。プタキロサイトは国際がん研究機関 (IARC) による発がん性分類の中でグループ2Bに分類されています。グループ2Bは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」として、わらび、漬けもの、鉛などの299種類が分類されています。
ただしプタキロサイトは水に溶けやすい性質なので、じゅうぶんにあく抜きをしたわらびを、大量に食べなければ問題ないとされています。

わらびとビタミンB欠乏症

さらに生のわらびには、チアミナーゼという酵素が含まれています。

チアミナーゼは体の中でビタミンB1を破壊する作用があり、ビタミンB1欠乏症を引き起こします。
チアミナーゼはわらびやぜんまいなどの山菜やコイやフナなどの淡水魚、貝類などに含まれている酵素。加熱するとビタミンB1を破壊する作用が失われるので、わらびをじゅうぶんにあく抜きすれば問題ありません。
しかし、もし生のわらびやあく抜きの不十分なわらびを食べてしまったら、どうなるのでしょう?ビタミンB1欠乏症とはどんな症状なのでしょうか?

ビタミンB1欠乏症の症状

ビタミンB1は糖質の代謝に関わっているため、ビタミンB1が不足すると、糖質をおもなエネルギーとしている神経や脳に影響があらわれ、さまざまな神経症状が出てきます。ビタミンB1の不足は以下のような脚気の症状としてあらわれます。

  • 倦怠感
  • 浮腫み
  • 動悸
  • 息切れなど

また中枢神経が侵され眼球運動障害、運動失調、意識障害などの症状があるウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があります。

ですが、繰り返しになりますがチアミナーゼは熱に弱いので、熱を加えることで安全に食べることができます。適切にあく抜きをしたわらびであれば、問題なく食べることができます。

わらび中毒

わらび中毒という言葉をきいたことがありますか?生のわらびを大量に食べた牛や馬などの家畜に中毒症状が認められ、わらび中毒と呼ばれるようになりました。

家畜がわらびを食べたことによる健康被害は昔から報告されていましたが、1960年代、日本で造成された家畜の放牧場で家畜のわらび中毒が多発し、わらびに含まれる発がん性物質が注目されるきっかけになったそうです。
わらびにはプタキロサイトやチアミナーゼのほかにも、さまざまな有毒物質が含まれていますが、牛はプタキロサイト、馬はチアミナーゼが中毒の原因になります。牛のわらび中毒には、急性と慢性があり、急性のわらび中毒が重症の場合は1~3日で死に至ることもあります。

これらのわらび中毒は生のわらびを家畜が大量に食べることによって引き起こされるもので、人間があく抜きをして適量を食べる分には問題ありません。

わらびは必ずアクを抜いて食べる

発がん性物質などの有害な物質が含まれていることを知ると、わらびを食べるのが怖くなりませんか?生のわらびにはさまざまな有害な物質が含まれていますが、きちんとあく抜きをして大量に食べなければ大丈夫です。

わらびに限らず有毒な成分を含んでいる食材をあく抜きして食べる方法には、昔の人の知恵がつまっています。私たち今おいくわらびを食べられるのは、先人たちが試行錯誤してくれたおかげなのですね。

まとめ

わらびに含まれる発がん性物質の存在が広く知られてから、「本当に食べても大丈夫なのか?」と不安を持つ人も多かったのではないでしょうか?

わらびは一年を通して、毎日食べる食材としては不向きかもしれません。しかしあく抜きしたものを適量食べるなら、献立に季節感がでて日々の生活に彩りをあたえてくれそうですね。しっかりあく抜きをして、これからも春の味覚を楽しんでくださいね。

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