よく似ている野菜のキャベツと白菜、レタス。見た目は似ているものの味の違いは明白。しかしその似ている姿からよく比較されがちです。そこで本記事ではキャベツと白菜、レタスの栄養素を比較。どれが一番優れているのでしょうか。
キャベツ・レタス・白菜の違い
キャベツと白菜は、大根やブロッコリーなどと同じアブラナ科の野菜。レタスは、春菊やゴボウと同じキク科の野菜です。白菜は縦長で独特の形をしているので、見分けやすいと思います。キャベツとレタスは丸くて同じような色をしているので、半分にカットされていたりすると、見間違えることがあるかもしれません。実は味も個性も違う3種の野菜。それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。
キャベツ
一見丸い形ですが、よく見るとちょっと横長なのがキャベツ。寒い時期のキャベツは扁平で白っぽく、ギッシリ詰まって重量感があるのが特徴です。春キャベツ(新キャベツ)は丸に近く濃い目の緑色で、冬のキャベツより柔らかい見た目になります。キャベツは外側が先に成長し、だんだんと内側に葉ができていきます。葉と葉の間に隙間がなく、重みが感じられるものほど成長した状態なので、同じ大きさだとしたら重いものを選びましょう。
緑が濃い場合、多少ツヤがありますが、通常はあまりツヤがないのが特徴。歯ごたえのある食感があり、加熱すると甘みが増すことから、和名「甘藍(かんらん)」といいます。加熱しても歯ごたえが残るので、鍋や炒め物、蒸し物など、どんな調理にも向く野菜です。
レタス
キャベツよりも巻きがゆるく、ふんわりした感じが特徴です。乾燥しやすいので、ビニールのカバーがかかっていたり、保冷コーナーで販売されていることが多い野菜です。レタスはキャベツとは逆に内側から育ち、だんだんに球状に丸まっていきます。選ぶ時は、大きめで軽く、緑色が濃すぎないものを選ぶとよいでしょう。
みずみずしくシャキシャキとした食感が特徴で、加熱するとしんなりし、多少苦みを感じることもあります。サラダなど生で食べることが多い野菜ですね。カットするとミルクのような白い汁が出て、赤く変色していまうのが特徴です。この乳状の液が出ることから、和名では「ちしゃ(乳草)」と呼ばれまています。
白菜
品種にもよりますが、外側は緑っぽく、内側は黄色っぽく縦長の野菜。また、一枚一枚の葉の中心が白く固めで、その他の部分はちりめん状で柔らかいのが特徴です。生で食べることはあまりありませんが、煮物や鍋、漬物に大活躍する野菜です。晩秋~冬が旬で、そのほかの季節に出回ることはあまりなく、あっても値段が高くなってしまいます。1個2kgほどにもなる大きな野菜なので、半分または1/4にカットして販売されていることも多いですね。
キャベツ・レタス・白菜の栄養を比較
キャベツ | レタス | 白菜 | |
---|---|---|---|
水分 | 92.7% | 95.9% | 95.2% |
カロリー | 23kcal | 12kcal | 14kcal |
タンパク質 | 1.3g | 0.6g | 0.8g |
糖質 | 3.4g | 1.7g | 1.9g |
脂質 | 0.2g | 0.1g | 0.1g |
食物繊維 | 1.8g | 1.1g | 1.3g |
カリウム | 200mg | 200mg | 220mg |
カルシウム | 43mg | 19mg | 43mg |
ビタミンC | 41mg | 5mg | 19mg |
β-カロテン | 49µg | 240µg | 92µg |
ビタミンK | 78µg | 29µg | 59µg |
葉酸 | 78µg | 73µg | 61µg |
キャベツの栄養を活かす方法とレシピ
キャベツの栄養を活かそう
キャベツの栄養がもたらす効能
キャベツに多い栄養はビタミンC・Kと、ビタミンB群の一種である葉酸、辛み成分の「イソチオシアネート」、「ビタミンU」です。また、食物繊維のうち、不溶性食物繊維が多いのが特徴です。「ビタミンU」は胃腸薬にも使われる成分で、キャベツのしぼり汁から発見されたことから、「キャベジン」とも呼ばれています。胃酸の分泌を抑える他、たんぱく質の生成を活発にし、傷ついた組織を修復する働きがあります。
食べる前に冷蔵庫に入れておく
キャベツに含まれる栄養素のうち、特に多いビタミンCと、優れた成分であるビタミンUは水溶性。これらを最大限活かすためには、生で食べるか、汁ごと食べられる調理がオススメです。また、ビタミンUは熱に弱く、酸性条件で壊れにくくなる特徴があります。また、長期冷蔵保存で数倍に増えるという研究成果もあるので、食べる前に冷蔵庫に入れておくことをオススメします。
キャベツの栄養を活かすレシピ
無限キャベツ
キャベツで話題になったと食べ方と言えば、「酢キャベツ」と、この「無限キャベツ」ですね。いくらでも食べられる、ということで「無限」と名づけられたこのレシピ。いろいろなバージョンがありますが、湯通しやレンチンしない方がビタミンCの流出ががないのでオススメです。キャベツ1/4(約200g)とツナ缶1個(70g)、鶏がらスープとマヨネーズ・ごま油をそれぞれ小さじ1杯、コショウや炒りゴマを少々混ぜるだけ。栄養を逃さないためには、作り置きせず食べきることをオススメします。また、水分に流れ出しやすいビタミンUですが、マヨネーズの酸を加えることで安定します。
春キャベツの丸ごと白ワイン蒸し
甘くて柔らかい春キャベツがお店に登場したら、是非試していただきたいレシピ。キャベツ1個を芯ごと4等分にカットし、芯を下にして鍋に入れます。ベーコン100gを一口大位に切り、キャベツの上に散らします。ローリエ2枚をのせ、白ワインと水を各50ml振りかけます。ふたをして弱火でコトコト1時間くらい蒸し煮にし、塩やコショウで味を調えたら出来上がりです。キャベツが、スプーンで食べられるくらい柔らかくとろけますよ。キャベツの芯は成長のための栄養保存庫なので、葉よりもミネラルが多く、特に春キャベツで多くなります。是非芯も一緒に食べるようにしましょう。
レタスの栄養を活かす方法とレシピ
レタスの栄養を活かそう
オリーブオイルがオススメ
レタスに多い栄養素はβ-カロテンです。β-カロテンは、体に取り込まれるとビタミンAになり、皮膚や粘膜を保護する働きがあります。効率よく取り入れるためには、油と一緒に摂取するようにしましょう。サラダで食べる場合には、オメガ3脂肪酸が多いアマニ油やえごま油、コレステロールを下げる働きのあるオレイン酸が含まれるオリーブオイルがオススメです。
レタスを食べると眠くなる?
ところで、レタスを食べると眠くなるという話を聞いたことはありませんか?これは、ワイルドレタスに含まれる「ラクチュコピクリン」という成分に、鎮静・催眠麻酔作用があることから誤解が広まったもの。私たちが通常食べるレタスにも微量の「ラクチュコピクリン」は含まれていますが、大量に食べないと眠くなるほどの効果はありません。
レタスの栄養を活かすレシピ
レタスのポタージュ
ホロ苦さと香味があるレタスは乳製品との相性がいいので、レパートリーに加えてみませんか?まず長ネギ1/2を小口切りにし、バター10gで炒め香りを出したら、一口大に切ったジャガイモ1個と水300ml、コンソメ小さじ1を入れて煮込みます。じゃがいもに火が通ったら火を止め、レタス1/2個を手でちぎっていれます。その後ミキサーにかけて滑らかにし、牛乳50mlとオリーブオイル小さじ2を入れ、塩コショウで味付け。よく冷やして、クルトンやカリカリベーコン、サラミの千切りをトッピングして召し上がれ。油を使い、汁ごと食べることでレタスの栄養をしっかり摂ることができ、苦みもアクセントになります。レタスにも熱に弱いビタミンUが含まれていますが、短時間加熱なのであまり壊れないのでご安心ください。
レタスと豚ひき肉のおかずサラダ
ゴマ油大さじ1で豚ひき肉をしっかり炒めカリカリにします。その間にちぎったレタスを洗い、水気をしっかり切ります。大きなボウルに入れたレタスに炒めたひき肉を油ごとかけます。レタスがしんなりしたら、塩昆布一つまみとゴマ油大さじ1、コショウ少々を足して、全体になじんだら出来上がり。冷蔵庫で3~4日保存できます。レタスの苦みが出ないようにするため、包丁を使わず、繊維を断ち切るように手でちぎるのがポイント。レタスのβ-カロテンを効率よく摂取できる常備菜となります。
白菜の栄養を活かす方法とレシピ
白菜の栄養がもたらす効能
白菜には突出した栄養素はありませんが、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれているのが特徴。キャベツと同様にアブラナ科の野菜なので、辛み成分である「イソチオシアネート」や「モリブデン」という成分が含まれています。「モリブデン」はミネラルの一種で、糖質や脂質の代謝を促進してくれると言われています。
白菜の栄養を活かすなら鍋
白菜の栄養を効率よく摂取するためには、鍋やスープがオススメ。水溶性の成分も摂取でき、量もたっぷり食べることができます。
白菜の栄養を活かすレシピ
白菜クリームシチュー
お肉やキノコなどの旨味を吸って、美味しくトロける食感になるのが白菜の特長。鶏肉や玉ねぎ、にんじん、しめじやマッシュルームを入れてクリームシチューはいかがでしょう。たっぷり食べられて栄養も丸ごと摂ることができますよ。
白菜のすき焼き風卵とじ
こちらも白菜をたっぷり食べられて栄養も逃がさないレシピ。豚肉とゴボウ、白菜を麵つゆで煮込み、溶き卵を流し入れるだけなので簡単です。白菜を千切りして最後の方に投入すると、熱に弱い「イソチオシアネート」が壊れにくく、シャキシャキ感を楽しめます。卵が半熟のうちに、豆苗や三つ葉をトッピングしてどうぞ。
毎日食べるならレタス白菜キャベツどれがおすすめ?
それぞれに特徴や美味しさ、栄養があり魅力的なキャベツ、レタス、白菜。あなたはどれが好きですか?
キャベツのおすすめポイント
毎日食べるとしたら、コストパフォーマンス的にはキャベツが一番でしょうか。冬キャベツは1玉1kgで、150~300円程度、春キャベツはちょっと軽めですが、値段は同じくらいです。炒め物、サラダ、漬物、煮物、蒸し物など、万能な野菜なので、あると助かる野菜でもありますね。
レタスのおすすめポイント
レタスは年中安定的に入手しやすく、値段は200~300円程度ですが、1玉300~500g位ですので、キャベツに比べ値段が倍になってしまいます。ただし、お弁当や、肉料理などの彩りとしてサッと使えるのがメリットなので、常備しておくと便利なのはレタスです。
白菜のおすすめポイント
白菜は春や夏には手に入りにくく、値段も高いので、旬以外は使いずらいのが難点です。ただし、旬には1玉2kg位で300円程度になるので、旬の時期にたっぷり楽しみましょう。また、冬場に多めの塩で漬物にすると春まで持つので、水で塩出しして長期間楽しむのもオススメです。
総合力ではキャベツがおすすめ
あなたは「デザイナーズフーズ・ピラミッド」という言葉を聞いたことはありますか?これは、アメリカ国立がん研究所のプロジェクトとして、ガン予防に効果があると考えられる野菜40品を分類し、ピラミッド型に整理し発表されたもの。第1位はニンニクですが、キャベツはそれに次ぐ第2位に位置しています!
その理由として大きなものは、「イソチアネート」と呼ばれる成分。がん細胞を自滅させる働きがあることが期待されている成分で、免疫力アップにつながると言われています。また、ビタミンCによる抗酸化作用、食物繊維の多さ、ビタミンUによる組織修復作用などが評価されているのですね。なお、「イソチアネート」はアブラナ科である白菜にも含まれています。
ただし、このピラミッドにあるものだけを食べればいい、という訳ではありません。例えば、白菜などアメリカでは馴染が少ないものは最初から含まれていません。あくまで、ガンの予防に効果が期待されるものの例として考えてください。このプロジェクトで出された「野菜を1日5種類以上、1日200g以上」というメッセージの方が重要です。日本では、1日350g以上の野菜摂取が推奨されていますね。様々な野菜を食べることが大切で、入手しやすさやコスト・栄養的におすすめなのがキャベツと考えてください。
まとめ
キャベツ、レタス、白菜の違いや栄養についてみてきましたがいかがでしたか?
それぞれ魅力もあり、選ぶのは難しいですが、栄養の特徴や使い方のポイントを覚えておくとより楽しめますね。今回ご紹介したレシピを、あなたの食生活に取り入れていただければ嬉しいです。