なすはしっかりした皮に包まれているので傷みにくいように思えますが、乾燥・湿気に弱く、また、夏野菜なので5℃以下になると低温障害になってしまう、意外とデリケートな野菜なのです。
この記事ではなすの賞味期限と保存期間を解説。デリケートななすをより日持ちさせる方法を知っておきましょう。
なすの賞味期限
保存には10℃前後の冷暗所が適していると言われます。保存方法による賞味期限はそれぞれ以下のとおりです。
常温
夏場は1日程度、その他の季節でも3~4日程度が賞味期限です。
冷蔵
冷蔵庫は温度が低いので意外と持たず3~4日、少し温度が高めの野菜室で1週間程度が賞味期限となります。カットしたナスは1日以内に使うことをオススメします。
冷凍
生のままでも、カットしたり下ごしらえ・調理済のものも冷凍できます。いずれも1カ月程度が賞味期限です。
干したもの
完全に乾燥している状態なら半年~1年程度、半生状態なら冷蔵保存で1~2カ月の賞味期限となります。

鮮度がよく美味しいなすの選び方
買ってからの賞味期限をのばすためにも、できるだけ鮮度がよく美味しいなすを選びましょう。
ツヤ・光沢がある
つやつやと光を反射して白い光沢があるのがよいナスです。
深く濃い紫色
なす独特の「なす紺」と呼ばれる、時に黒く見えるほど深くて濃い紫色のものを選びましょう。抗酸化作用の強いアントシアニン系のポリフェノール「ナスニン」「ヒアシン」が多く含まれ、よい環境で育った証拠です。
傷がない
傷があるとそこから急速に痛んでくるので、できるだけ傷がないものを選びましょう。カサブタのようなものは、葉などが擦れた跡、裂け目のようなもの、網目のような傷跡があるものは虫の被害を受けた可能性もあります。
ヘタの断面がみずみずしい
なすの上に出た軸のような「ヘタ」の状態は、なすの新鮮さを示すバロメーターとなります。一番上の切り口がみずみずしく、緑色をしているほど新鮮です。収穫から時間が経つほどヘタがしなびてクニャッと曲がってきます。
ガクやトゲがピンっとしている
なすのヘタの下にある花びらのようにヒラヒラしている部分が「ガク」です。品種にもよりますが、この部分にあるトゲがピンっとして触ると痛いくらいのものが新鮮です。
ヘタやガクの筋がはっきりしている
あまりじっくり見ることはないかもしれませんが、新鮮ななすのヘタやガクには、ハリがあり筋がはっきり見えます。是非見分けるポイントとして覚えてください。
ずっしり重みがある
水分が93%以上あるといわれるナス。新鮮なものはプリっと弾力がある見た目で、持ち上げるとずっしりとした重みが感じられます。袋に入っているものの大きさが同じに見える場合、手に持って比べてみてはいかがでしょう。
ガクの下が白い
ガクのヒラヒラした部分の下側が白いものは、成長が止まっていない状態。つまり収穫から時間がたっていない元気なナスの証拠です。
ボコボコしていない
成長中に水分不足や肥料不足、高温障害などがあると、均一に成長せずボコボコになります。多くの場合皮も固く味も落ちますので、つるんとした状態のなすを選びましょう。
ガクの下側がプックリと太いもの
ガクの下の実が細くガクが浮いているようなナスは、若い状態で収穫されたものです。アクが少ない状態ではありますが、その分味も薄く水分が多くなります。より美味しい、ガクの下側がプックリと太いものを選ぶことをオススメします。
なすの保存方法
なすは乾燥しやすく、ヘタの切り口から水分が蒸発していきます。そして、一番痛みが早いのもヘタ。次にヘタから水分を出す中身の白い部分が痛んでいきます。なすの保存はラップ使用が基本ですが、ヘタも包むのを忘れないでください!
また、ヘタを上に立てて保存すると、なすが余計なエネルギーを使わないので日持ちしやすくなります。
常温保存
ひとつずつラップに包み、さらにジッパー袋などに入れ、ヘタを上に立てて冷暗所に保存しましょう。
冷蔵保存
なすは乾燥しないようラップでひとつずつしっかり包み、その上から新聞紙などで包んで冷気が当たり過ぎないようにします。このまま冷蔵庫や野菜室に入れれば、1週間程度持ちます。さらに、ジッパー袋に入れヘタを上にして野菜室で保存すれば賞味期限は10日まで伸ばすことが可能です。
カットしたナスは、水に浸したままジッパー袋に入れて保存してください。ただし、味や栄養が落ちますし、1日程度しか持たないのでオススメの方法とは言えません。
乾燥・干して保存
なすは水分が93%と高い野菜ですが、比較的短時間で乾燥させることができます。干すことで歯ごたえが生まれ、ちょっとお肉のような食感にもなりますので、一度お試しください。
まず、なすを切る前によく洗います。アク抜きと色止めのため、水1リットルに酢またはレモン汁を入れたものを準備しておき、スライサーなどでできるだけ薄く切ったなすを次々投入していきます。ざるにあけ水気を拭き取り、干しかごなどに並べたら塩を振って天日干しします。
1日程度で半分乾いた状態になり、3日で完全に乾燥できます。ちょっとクシャクシャになって、手でパリッと割れるくらいなら大丈夫。半生のものは冷蔵保存、完全乾燥のものは常温で保存可能です。湿気を吸わないようきっちりジッパー袋に入れ、可能であれば乾燥剤を入れておきましょう。パスタや煮物などにそのまま入れるだけで使えます。
漬物
塩分2%程度の浅漬けの場合、日持ちはせず冷蔵保存1~2日が賞味期限です。塩分2%の塩水に漬け、空気にふれないようジッパー袋などで密封すれば多少日持ちしますが、冷蔵で4日位で食べきるようにしましょう。ヘタを落とさず丸のまま、もしくは縦半分に切り目を入れる程度で漬け、食べる直前に切り分けるようにしてください。
ぬか漬けの場合、なすは漬かりやすいため1~2日で食べごろになるのですが、それ以降どんどん味や食感が落ちていってしまいます。冷蔵保存したとしても、2日以内に食べきることをオススメします。
なすのマリネ
油を塗ったなすにラップをかけて、電子レンジで2分ほど加熱してからカットしてマリネ液に入れると、色もキレイでよく漬かります。電子レンジ加熱後は熱いので気をつけて、でも温かさが残っているうちに、オリーブオイル・酢・塩や醤油・砂糖・ハーブやスパイスを混ぜて一煮立ちさせたマリネ液に漬けましょう。熱湯で殺菌したビンに入れ、ふたをして煮沸消毒すれば1年ほど保存できますよ。
なすの冷凍保存方法と保存期間
なすを上手に冷凍保存するためには、ひと手間かけることが大切です。いくつかご紹介しますので、使う場面を想定しながら使い分けしてみてください。
切ってからそのまま冷凍
初夏のナス、冬から春のハウス栽培ナスなどアクが少ないものは、切ったままで冷凍しても大丈夫です。煮物なら乱切り、カレーなどには輪切り、味噌汁などにはクシ切り、などお好きな形にカットして、できるだけ平らにしてジッパー袋に入れ冷凍します。賞味期限は1カ月程度。
ただし、切った時に断面が茶色、または切っているうちにみるみる茶色に変色してきたらアクが強いと思われるので、下ごしらえすることをオススメします。
下ごしらえ(アク抜き)してから冷凍
水や5%程度の塩水・酢水などに漬けアク抜きをしてから冷凍する時は、水分をきれいに拭き取ってから保存する必要があります。また、塩を振って水分とアクを抜く方法もあり、こちらの方が手間もかからず、冷凍に向いています。賞味期限はどれも1カ月程度です。
電子レンジで下ごしらえ
電子レンジで下ごしらえすると、水分やアクも抜けますし、冷凍後調理に使う場合の時短にもなるのでオススメです。色止めのために油を塗ったなすをラップで包み、600Wで1分程度加熱します。その後好きな大きさに切ったり皮をむいたりして冷凍します。出てきた水分はしっかり拭き取ってから密封袋に入れ、くっつかないように冷凍しましょう。
ゆでてから冷凍
熱湯に短時間入れる「ブランチング」は、野菜の酵素の働きを止めることができるので、市販の冷凍野菜などでも使われている手法です。アクによる変色などを防げます。あまり小さくカットせず、お湯から上げたらすぐに水分を拭き取るようにします。
また、オリーブオイルなどを少量入れたお湯で2分ほど茹で、すぐに冷やす方法もあります。いずれにしても水気を拭き取るのが面倒というのがデメリットですが、冷凍したものを使う時には時短になるというメリットもあります。賞味期限は1カ月程度です。
焼きなすの冷凍方法
グリルなどで丸ごとのナスを焦げるくらい焼き、皮をむいた焼きなす。冷凍で常備できれば急な来客の時など便利ですが、冷凍できるのでしょうか?
実は、冷凍できるだけでなく、冷凍におすすめの1品なんです!皮をむいて冷凍するので、変色や色移りもありませんし、冷たい状態で食べたい時に食べられます。食べやすい大きさに切り分けて、ラップで1回分ずつ包んでからジッパー袋で密封して冷凍しましょう。おいしく食べられるのは2~3週間です。
素揚げしてから冷凍できる?
こちらもオススメの冷凍方法!市販の冷凍食品でも売られていますね。揚げてから冷凍したなすは、コクがあるうえ、実がトロける感じになって絶品!超おすすめです!
乱切りなどにしたなすの皮目を下にして油で揚げます。ひっくり返したら、あまりクタッとしないうちにキッチンペーパーに取り上げ、しっかり油を切りましょう。この時、なす同士がくっつかないようにすると、紫色がきれいなまま保たれます。くっつかないように袋に入れるか、アルミトレイなどに置いて冷凍し固まったら密封します。油を使っているので2週間ほどで使い切るのがオススメです。
調理後の冷凍
なすの炒め物などを冷凍することは可能ですが、食べる時に再加熱するため、どうしても食感や色が変わってしまいます。どうしても冷凍する場合は、トマトの入ったラタトゥイユなどですと、酸味で変色をおさえることができます。賞味期限は2~3週間と考えてください。
生で丸のままでも冷凍できる?
実は、ナスを丸ごとそのまま袋に入れただけで冷凍しても大丈夫なんです!1カ月ほど持ちますが、新鮮なうちに冷凍してくださいね。また、解凍して使う時にコツのようなものがあります。それは、次の解凍方法でご紹介しますのでお楽しみに!
冷凍なすの解凍方法
丸ごと冷凍なすの解凍方法
丸ごと凍ったなすを耐熱皿に入れ、ラップをせず電子レンジにかけます。600Wで1本なら3分、2本なら5分くらいかけると蒸しナス状態のできあがり!水の入ったボウルに入れ、冷ましながら手で裂くようにほぐしていくと、アク抜きまでできちゃいます。
あとは軽く水気を切って、好きな味付けでお召し上がりください。食べるラー油や味噌だれを混ぜたり、しょうがを効かせたり、濃い目の味付けで食べるのがおすすめです。もちろん軽く加熱調理してもオーケーです。レンジにかけてすぐ冷やすと色もそんなに悪くならず、簡単で長期保存もできる、一番楽な方法かもしれません。
焼きナスの解凍方法
食べる前7~8時間前に冷蔵庫に移し、ゆっくり解凍します。または電子レンジの解凍モードや弱モードで少しずつ解凍します。だし汁などで味をつけたい時は、凍っているうちにナスを浸すと、溶けながら味を吸い込むので美味しくなります。完全に解凍される前に食卓に出すと、ベチャベチャになる前に食べられます。
カットした冷凍なすの解凍方法
基本的には解凍せず、凍ったまま調理がおすすめ。解凍する場合はレンジに短時間かけ、完全に解凍しないまま使ってください。
冷凍なすの便利な使い方
冷凍ナスは時短調理に役立つ便利な食材です。組織が壊れているので味はしみ込みやすい反面、クタッとなりやすいので天ぷらなどの揚げ物には向きません。おすすめの便利な使い方をいくつかご紹介しますので、是非お試しください。
揚げナスで煮びたし
出汁汁を調味したものや麺つゆなどに、凍ったままの揚げナスを入れるだけです。溶けながら味を吸い込むので美味しくなりますよ。温かいものを食べたい時は電子レンジで2分ほど加熱してください。皮を上にするとキレイな色を保てます。お弁当の保冷剤代わりにも使えますが、汁が多すぎないよう気をつけてください。
揚げナス・熱を通した冷凍ナスで煮物・炒めもの
他の具材が柔らかくなっったら味付けし、冷凍ナスを入れてざっくり混ぜ柔らかくなれば出来上がり。揚げたナスを使うとコクと旨味がアップするのでオススメです。マーボー茄子やパスタにも、もちろん大活躍します。
スープや味噌汁に
汁ものの具材が寂しい時、冷凍ナスを入れると食感や色どりをプラスすることができます。沸騰直前の味付けした状態の時に、凍ったまま入れ短時間で調理してください。
即席漬け
計量カップ(200ml)に軽く一つまみの塩を入れ、できた塩水をジッパー袋に入れて、凍ったままのナスを入れます。ナスが柔らかくなったら即席漬けの出来上がり。少量の酢や昆布、鷹の爪などを入れるのもオススメです。
冷凍なすを大量消費したい時
そろそろ賞味期限の冷凍なすの大量消費におすすめなのはピザ風料理。凍ったナスとトマト(缶詰やケチャップでもOK)を炒めて、コンソメや乾燥バジル・クミンなどで味付けし、ピザ用チーズをかけて焼きます。オーブンに入るスキレットなどで作れば、そのまま食卓にも出せるのでパーティーなどにもぴったりですね。
なすの賞味期限と保存期間まとめ
なすの賞味期限や選び方、保存方法について見てきましたがいかがですか?
冷凍庫に余裕があるなら、なすは冷凍保存した方が美味しく食べられるので断然おすすめです。中でも、丸ごと冷凍は手間もかからず、買ったその日のうちにできるので、是非お試しいただきたい方法の一つです。また、手間はかかるものの、色どりよくとろける美味しさが楽しめる揚げナス冷凍も捨てがたいですね。
おすすめ料理法なども活用して、美味しいなすを存分に楽しんでいただければ嬉しいです。
