ピーマンが辛い原因!辛いピーマンに名前はある?

ピーマンが辛い原因!辛いピーマンに名前はある?

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産直やスーパーで買ったピーマンが辛い!自家産ピーマンを食べたら辛かった!ということはありますか?

ピーマンなのに辛いものがあるのか?それともピーマンと似ているけど違うものなのか?

そう疑問に思ったあなたのために、ピーマンが辛い原因や辛いピーマンの名前を徹底研究していきます。

そもそもピーマンに辛い品種はあるのでしょうか。

目次

ピーマン・ししとう・トウガラシは同じ品種

そもそもピーマンとはどのような野菜なのかというと…。実は、トウガラシの一種なんです!ピーマンの語源として、フランス語で広い意味でトウガラシを意味する「pimentピメン」からきているという説があり、和名は「甘唐辛子」。そう、トウガラシには辛い品種と甘い品種があり、ピーマンは甘いトウガラシに分類されるんですね。

ピーマンと似ているけど細長い形の獅子唐(ししとう)も、同じトウガラシの甘味種で正式名称は「シシトウガラシ」です。トウガラシの唐がついた名前のとおり、よく辛いものに当たるイメージですよね。ピーマンには辛み成分である「カプサイシン」を作る機能がありませんが、ししとうにはこの機能があるので、辛いものができやすいのです。

ピーマンは辛くならない

ピーマンには辛み成分を合成する遺伝子機能がありません。

ではカプサイシンを作る機能がないピーマンがなぜ辛くなるのでしょうか?

その場合、辛いピーマンは、なんらかの原因で遺伝子を持ってしまった場合と、実はピーマンではなかった場合とが考えられるのです。

辛いピーマンの品種はある?

結論から言えば辛いピーマンの品種はありません。

ピーマンは、辛み成分であるカプサイシンを合成するために必要不可欠なPun1という遺伝子が機能しないことが確認されています。逆に言えば、この遺伝子のないトウガラシ品種がピーマン(甘唐辛子)と呼ばれているのです。

ピーマンと唐辛子を交配させた新品種

ピーマンと唐辛子を交配させて、辛みが出るようにした品種の種が売られています。商品名は「ちょい辛ピーマン」と「ピり辛ピーマン」。見た目はピーマンと見分けがつかない感じです。販売しているのは、信州山峡採取場ですので「ぼたこしょう」が元になっていると考えられ、ピーマンとして売られているようです。

ピーマンと間違えやすい品種

トウガラシの中には、見た目がピーマンとそっくりで辛いものがあります。もしかしたら、ピーマンの辛いやつ!と思ったものが、これらの品種だった可能性もありますね。

ぼたんこしょう(ぼだごしょう)

トウガラシの一種で、根・葉・茎・花・果実がピーマンとそっくりで、栽培していても見分けがほとんどつきません。北信州の斑尾山麓の豊田村(現在は中野市)で、昭和初期以前から栽培されてきた地方在来種です。実の先端周辺に深い溝があるのが特徴で、この形が「牡丹」に似ていることから名前がついたようです。辛みは種の付いている胎座(たいざ)と呼ばれる部分だけにあり、その他の部分は甘いので、食べ方によって辛みを感じたり感じなかったりするとのこと。

ひしの南蛮

信州小諸地方で栽培されている地方在来種のトウガラシ。昭和初期に朝鮮半島から持ち帰ったものが起源とされ、小さな丸いピーマンそっくりです。熟すると辛くなるので、柔らかい若い果実を収穫することが多いようです。

かぐらなんばん(神楽南蛮・おにごしょう)

「ぼたんこしょう」と同様、ピーマンそっくりのトウガラシの一種。新潟県中越地方で栽培されてきたもので、ぼたんこしょう産地とは古くから交流があったことから、もともとは同じものだったと考えられています。こちらでは、ぼたんこしょうと同じような深い溝を神楽の面に見立てて名前が付けられたそう。辛いものの当たり外れはあるようですが、ぼたんこしょうと同様種の周辺は辛く、本家と言われる山古志村のものは「山古志かぐらなんばん」としてブランド化されています。

ロコト

アンデス地方で栽培されているトウガラシの一種で、見た目は小さくて丸いピーマンのようですが、激辛です!果肉も辛く、種やその周辺は特に辛いので、調理する時は手が痛くなるほどなんだそう。

スコッチボンネット(スコッチボネット)

ジャマイカ料理によく使われる激辛トウガラシ。有名な「ハバネロ」の仲間です。小ぶりのピーマンやパプリカを押しつぶしたような形で赤や黄色のものが多いようです。

スコーピオン唐辛子(トリニダード・スコーピオン)

世界一辛い唐辛子としてギネス記録にも認定された激辛トウガラシ。見た目は赤い小さなピーマンとよく似ているので要注意!

パドロン(西洋ししとう)

正確にはシシトウの仲間ですが、見た目がピーマンとシシトウの中間のような形をしています。「ピメントス・デ・パドロン」、スペインのパドロン地方のトウガラシというのが名前の由来です。原産地のパドロン地方はとても冷涼な地域のためそれほど辛くならないのですが、日本では夏の暑さなどのため辛いものが多くなるそうです。

近年、ビールのホップ生産で有名な岩手県遠野市で栽培されている、大型でとても辛い「遠野パドロン」というブランドが有名になりました。熱を加えると辛みはちょっと減少しますが、生のものを最初にかじった時は甘く、時間差で強烈な辛みと痛みに襲われるのだとか。特に完熟させた赤い「遠野赤パドロン」は少量生産のため入手困難になるほどの人気です。

ピーマンが辛く感じる原因は何なのか

ピーマンに、交配など何らかの原因でカプサイシンを合成する遺伝子機能が組み込まれた場合、辛くなることがないとは言えません。

では、ピーマンが辛く感じる原因は何なのでしょうか?

それは勘違いや、ピーマンではなくししとうやパドロンなどのカプサイシンを持つ野菜であったと考えるしかありません。

ししとうやパドロンなどのカプサイシンを持つ野菜について解明されていることは、以下のとおりです。

辛くなる原因はストレス

高温や乾燥、日照・水分・肥料不足などのストレスによって「単為結実(たんいけつじつ)」という現象が起こり、種子が無くなったり極端に少なくなり、果実の中のカプサイシン量が増えます。

実は、種子の皮になるものとカプサイシンの原料は同じもの。ストレスなく通常に受粉した場合、種子が優先的につくられます。一方、ストレスによって「単為結実」が起こり種ができなかったり少なくなると、余った原料を使ってカプサイシンが合成されてしまうのです。

ちなみに、植物ホルモンを使ってわざと「単為結実」を起こしても、ピーマンはカプサイシンを合成しなかったという実験結果があります。やはり、通常のピーマンにはカプサイシン合成機能がないのです。

完熟したものほど辛い

ピーマンなどトウガラシの仲間は、未熟な時は緑色をしていますが、熟していくと赤やオレンジ・黄色などに変化していきます。つまり、赤ピーマンは緑のピーマンが熟した状態となります。そして、辛み成分は熟するとともに合成・蓄積されていくので完熟したものほど辛くなります。

ピーマンが辛くなるための遺伝的現象・原因とは?

さて、本来辛み成分「カプサイシン」をつくる遺伝子機能がないピーマン。もし、ピーマンがこの機能を持ち、辛いピーマンができるとしたら、どのような現象・原因が考えられるでしょうか?

ここで皆さんには、中学校で習った「メンデルの法則」を思い出してほしいのです。

親から子へ引き継がれる遺伝子は、両親それぞれのものを組み合わせたものとなります。この時、特徴として表れやすいものを「優性」といい、現れにくいものを「劣性」と言います。性質として優れているかいないかではなく、両親からの遺伝子が二つとも同じでない限り特徴として現れないものが「劣性」と呼ばれるのです。

わかりやすい例が血液型。A型は優性、O型は劣性なので、A型とO型の親から産まれた子は必ずA型になり、O型同士の親から産まれた場合のみ子供がO型になる、ということですね。

キセニア現象で辛くなる?

また生物の授業のようになってしまいますが、もう少しだけお付き合いください。

ピーマンの近くにトウガラシを植えると「キセニア現象」で辛いピーマンになる、という説を聞いたことはありませんか?

「キセニア現象」とは、優性遺伝子を持つ他品種からの花粉をもらってしまうことで、種子の劣性形質が変化してしまうことを言います。ポイントは種子の胚乳組織だけに現れ、果実となる(ピーマンで言えば本体)部分には影響がないことです。有名なのは、種子そのものを食べる稲。もち米の近くにうるち米を植えると、花粉を受けて優性であるうるち性の米が出来てしまい、全体の品質が低下することは米農家の常識です。

「辛くなる」という遺伝子は確かに優性ですが、辛み成分は一部の激辛トウガラシ品種以外では果実組織にしかないため、種子だけ影響を受ける「キセニア現象」では説明できないというのが事実です。

メタキセニア現象では説明できる?

種子以外の果実にも優性他品種の影響が表れる「メタキセニア」という現象もあり、りんごやナツメヤシなどで確認されていますが、トウガラシの研究ではこの現象発生はないとされています。

文献を調べたところ独立になされた次の2つの研究結果によればトウガラシのカプサイシン含量に関してメタキセニア現象はないとの結論が得られていました。

1)Quantitative Analysis of Capsaicinoid in Chili Pepper(Capsicum sp.) by High Performance Liquid Chromatograpy Operating Condition, Sampling and Sample Preparation
Mineo MINAMI,Ken-ichi MATSUSHIMA and Akio U JIHARA
Journal of the Faculty of Agriculture SHINSHU UNIVERSITY Vol.34 No.2(1998)
https://soar-ir.shinshu-u.ac.j…

2) トウガラシの辛味に関する生理学的ならびに遺伝学的研究 V : 辛味の遺伝 Physiological and Genetical Studies on the Pungency of Capsicum, V : Inheritance of Pungency
太田 泰雄 OHTA Yasuo
遺伝學雑誌 37(2), 169-175, 1962
http://ci.nii.ac.jp/naid/13000…

一般社団法人 日本植物生理学会HP

興味のある方は文献を見ていただきたいのですが、簡単にいうと、辛みのないトウガラシ品種に辛い品種を人工授粉させても、辛いトウガラシに変化するものはなかったということです。

ピーマンと唐辛子を近くに植えても辛くならない?

辛い遺伝子の影響による「キセニア現象」と「メタキセニア現象」はない、ということはわかりましたが、実際にピーマンと唐辛子を近くに植えたら辛いピーマンが出来た!という話をよく耳にします。

結論から言えば、受粉してできたピーマン自体は辛くならないものの、出来た種を使って栽培した場合、トウガラシの性質をもつピーマンができます。つまり、辛いピーマンになるのです。実は交配されて新品種になってしまっている状態で、トウガラシっぽい形ができたりすることもあります。

売られているピーマンの種は、花粉などが混ざらないように管理されているはずですので、可能性としてはかなり低いと思います。自分の家で種を取っている場合、毎年ピーマンと唐辛子を混植していたりしてれば、種がだんだん辛いピーマンに変化しているかもしれません。

辛いピーマンのおすすめレシピ

運よく(?)辛いピーマンができてしまったり買ってしまった場合の、おすすめレシピをご紹介します。

フリッター

最近はイタリア語の「フリット」と呼ばれることも多いのですが、本来はメレンゲでふわっとさせた衣で包んだ揚げ物の意味。スペインではおなじみの、辛い「パドロン」を使ったオススメレシピ第1位は素揚げですが、ちょっと手を加えてフリッターにしてみましょう。サクッと軽い歯ざわりとピり辛でジューシーな味わいがおつまみにぴったりです。

薄力粉80g(200ml計量カップの八分目)と片栗粉大さじ1杯、ビール100mlを泡だて器で混ぜ衣を作ります。適当な大きさに切った辛いピーマンに衣をつけてカラっと揚げればできあがり!塩とレモンでビールがすすみます。

ピーマン味噌

ピーマン農家さん直伝のレシピ。通常はピーマンと唐辛子を使うのですが、辛いピーマンなら唐辛子不要ですね。

しょうゆ800ml,砂糖(ザラメがおすすめ)300gを混ぜて一煮立ちさせ、粗熱を取ります。ほぐした米こうじ300gを入れます。この後、密封袋に入れ70℃位のお湯を入れた炊飯器で一晩ふたをせずに保温すると、こうじがトロトロになった醤油こうじとなり、旨味が倍増しますので、お時間のある方はひと手間加えてみてください。

調味料とこうじを入れた鍋を火にかけ、沸騰したら細かく切ったピーマン400gを投入し、中火~弱火でじっくり40分煮ます。最後に強火にしてヘラで練るようにして水分を飛ばし、もったりとしたら完成。すぐに食べることもできますが、3か月位すると味がなじんで絶妙の美味しさになります!常温で1年位持ちますし、美味しくてすぐなくなってしまうかもしれませんので、多めに作り置きすることをオススメします。辛いピーマンじゃない場合、トウガラシを1/8程度いれてください。

スパニッシュオムレツ

激辛で人気の「遠野パドロン生産法人」公式レシピよりご紹介。スペイン生まれの辛い「パドロン」にはやっぱりスペイン料理がぴったり合うようですね。

辛いピーマン、じゃがいも、たまねぎ、ベーコンなどを適当な大きさに切ってオリーブオイルで炒めます。じゃがいもに火が通ったら、たっぷり用意した卵液に入れて軽く混ぜます。フライパンをキッチンペーパーなどで拭き、オリーブオイルをたっぷり入れ熱したら、具材を入れた卵液を一気に流し込みます。中火でゆっくり加熱して卵がしっかり固まってから反対に返し、焼き色がついたらできあがりです。ピり辛のピーマンがアクセントになり、冷めても美味しく食べられます。

激辛カレー

辛さをとことん楽しみたい方向け。辛いピーマンは色が変わらないように素揚げしてトッピングするのがおすすめです!

辛いのはイヤ!という方は

辛いピーマンには当たり外れがあるようで、「ロシアンルーレット」をもじって「ピーマンルーレット」と呼ぶ方もいるようですね。辛いのにあたってビックリしたり、痛い思いをしたくない、辛いのはイヤ!という方のために、調理法をご紹介します。

辛み成分は、種の付く部分(胎座)と果実を仕切る部分(隔壁)に集中しています。ですから、ここを取り除いて調理すれば、辛みに当たる可能性はほぼなくなります。見分け方は簡単で、白い部分を多めに取り除けばいいだけです。ちなみに、トウガラシの特に辛い部分も同じなので、辛いのが苦手な方はお試しください。

ピーマンが辛い原因まとめ

辛いピーマンの研究をしてきましたが、基本的に唐辛子と交配させ、その種を取って植えない限り辛くならないないことがわかりました。自家栽培の場合などに、辛いピーマンが出ることがあるのはこのためです。また、あえてトウガラシと交配させた辛いピーマン新品種も発見できました。

また、トウガラシやシシトウの中には、ピーマンと間違えてしまうような形のものがあることも知ることができました。

ピーマンはその苦みやニオイが独特で苦手な方も多いのですが、大好きな方も多く、栄養や見た目も優れた野菜です。辛いピーマンも、レシピを工夫して特徴を活かすことで、魅力をもっと楽しめるものになりますので、是非お試しください。もしかしたら、辛いピーマンじゃないと物足りなくなってしまうかもしれません。

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