ネバネバした触感が特徴のオクラ。栄養価は高いのに低カロリーと優秀な食材です。しかも味にクセがないので幾らでも食べられそうですが、オクラの食べ過ぎは体に悪いのでしょうか?下痢や消化不良になるって本当でしょうか?
オクラを食べ過ぎは体に悪い?
オクラの旬である夏がくると、オクラが献立にでてこない日はないというくらい大活躍しませんか?
定番のオカカ醤油和えたり、お味噌汁の具にしたり。夏野菜カレーの具材にしても美味しいですね。夏バテ防止のために納豆や長芋などのネバネバ食材と一緒に食べることも多いかもしれません。
でも毎日のようにオクラを食べていると「もしかして食べ過ぎてるかも?」と心配になりませんか?オクラは食べ過ぎると体に悪いのでしょうか?そもそも、どのくらい食べたら食べ過ぎなのでしょうか?
その答えはオクラに含まれる栄養素にあります。オクラには豊富な栄養素が含まれていますが、摂りすぎると体に悪影響をおよぼす可能性のある栄養素もあります。
オクラに含まれる豊富な栄養素
オクラはカボチャやニンジンなどと同じ緑黄色野菜の一つに数えられます。緑黄色野菜とはβカロチン(ビタミンA)を豊富に含む野菜のことをいいます。
オクラに含まれるおもな栄養素は、カリウム、βカロチン(ビタミンA)、ビタミンK、葉酸、食物繊維など。オクラには疲労回復やアンチエイジング、整腸作用などがあるというからうれしいですね。
では、オクラに含まれる栄養素と日本人が一日に摂った方がいいとされる摂取基準量と比べてみましょう。
オクラに含まれるカリウム
オクラに豊富に含まれるカリウム。カリウムには体の中の余分な塩分を排出してくれる働きがあります。むくみを改善したり、血圧の上昇を抑える効果が期待される一方、摂りすぎると腎臓の負担になる可能性があります。
オクラのカリウムは100g中260㎎。厚生労働省が定めた18歳以上の女性の1日の摂取基準量は約2600㎎、男性は約3000㎎です。
オクラの1パックはだいたい100g、10本入りなので計算しやすいですね。1日にオクラを1㎏、つまり100本食べたら基準量になりますが、そんなには食べられませんよね。ですのでオクラの食べ過ぎによるカリウムの健康への影響は考えなくてもよさそうです。
オクラに含まれるβカロチン(ビタミンA)
オクラ100gに含まれるβカロチン(ビタミンA)は670μg 。1日の基準摂取量は18歳以上の女性は約670ug、男性は約850μg が目安となっています。女性の場合は、オクラのβカロチン(ビタミンA)で一日の摂取基準量がほぼ満たすことができますね。
βカロチンは体内でビタミンAに変化します。ビタミンAの摂りすぎはさまざまな健康被害を引き起こす可能性があります。しかしβカロチンは体の中でビタミンAが足りないときに必要な量だけ変換されるので、食べ過ぎてもビタミンAの過剰摂取にはなりません。
オクラに含まれるビタミンKと葉酸
オクラに含まれるビタミンKと葉酸。これらの栄養素も野菜から摂取するときは、摂りすぎてもとくに健康被害はないといわれているので心配ありません。
オクラに含まれる食物繊維
オクラといえばあのネバネバした触感が特徴ですよね。あのネバネバのもとはオクラに含まれる水溶性食物繊維。オクラには100gあたり5.0gの食物繊維が含まれています。
18歳以上の女性の1日の摂取基準量は約18g以上、男性は約21g以上。オクラを400g、つまり40本食べれば満たすことができます。日本人の食物繊維の摂取量は少なくなる一方で、普通の食事で野菜から摂るときは、摂りすぎても体に悪いということはないそうです。
ただし食物繊維は摂りすぎると腸に作用して、お腹が緩くなったり、逆に便が出にくくなったりします。
結論として、体質や体調など個人差はありますが、オクラを食べ過ぎて下痢や便秘、消化不良などの症状がでることはありえます。
オクラの食べ過ぎによる体への影響
これまで見てきたところ、オクラに含まれる栄養素のうち、食べ過ぎて体に影響がでるのは、どうやら食物繊維だけのようです。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、それぞれ異なる特徴があります。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、体内に入ると胃や腸で水分を吸収して便の容量を増やします。便の量が増えることで腸が刺激され、腸の動きが活発になりスムーズな排便がうながします。また便をだすときに有害物質を吸着して排出するので、腸をきれいにする働きがあります。
水溶性食物繊維
水に溶けやすい性質の水溶性食物繊維は、栄養の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を抑えてくれます。またコレステロールやナトリウムを体外に排出する効果があるので、高血圧を予防する効果もあります。
不溶性食物繊維にくらべて大腸の中で発酵しやすく、善玉菌のエサになって善玉菌を増やしてくれます。その結果腸内環境がよくなり腸の調子を整えてくれます。
オクラに含まれる食物繊維は2種類
オクラにはこの2種類の食物繊維がそれぞれ100gあたり、不溶性食物繊維は3.6g、水溶性食物繊維は1.4g含まれています。
体にとって良いことばかりに思われる食物繊維ですが、不溶性食物繊維を摂りすぎるとお腹が張って、便秘の人はさらに便秘が悪化する可能性があります。また水溶性食物繊維を摂りすぎるとお腹が緩くなり、下痢になってしまう可能性があります。
便秘や下痢も体にはいいとはいえませんよね。オクラがいくら美味しくても、食べる量はほどほどにしておいた方がいいでしょう。1日に食べる量は100~200g、10本~20本に抑えておいた方がよいかもしれません。もともとの体質やその日の体調なども関係しますので、体と相談して量を決めましょう。
オクラを食べ過ぎると消化不良になる?
オクラに含まれる水溶性食物繊維はペクチンという成分で、これがオクラのネバネバの正体です。
ペクチンには胃の粘膜を保護して消化を助けたり、大腸の善玉菌を増やして腸内環境を整えたりする働きがあります。つまりオクラは適量を食べれば、ペクチンが胃の消化を助けてくれます。夏バテで胃が弱っているときにオクラは強い味方になってくれそうですね。
ですが食物繊維とは、そもそも体内で消化されない栄養素のことを指しています。適量なら消化を助けてくれても、摂りすぎれば消化不良を起こす可能性もあります。とくに胃や腸の発達が未熟な小さなお子さんは食べすぎないようにしましょう。
オクラの栄養を効率よく摂取する方法
オクラに含まれる栄養素を効率よく摂取するには、どんな調理法がいいのでしょうか?
オクラに含まれる水溶性食物繊維を効率よく摂取するには、できるだけ生で食べることをおすすめします。茹でるときはさっと短い時間で。オクラを刻んでオカカ醤油で和える食べ方は、実はとても利にかなっているのですね。
オクラを生で食べるレシピはたくさんあります。生のまま刻んで豆腐に乗せてもいいし、ミョウガやキュウリと一緒に細かく刻んで「山形のだし」にしてご飯にかけても美味しいですね。食欲のないときにおすすめの食べ方です。
またオクラに含まれるβカロチン(ビタミンA)は油に溶けやすい性質があるので、油と一緒に摂取すると吸収率が高くなります。生のオクラを天ぷらにしたり、ベーコンやトマトとバターで炒めたりしても美味しいです。
まとめ
栄養豊富なオクラですが、食べ過ぎると下痢や便秘になったり、消化不良を起こしたりする可能性があります。ですが食べ過ぎなければ、疲労回復の効果やむくみの改善、腸内環境を整えてくれるなど、いいことばかりですね。
どんなに体にいいといわれる食材でも、食べ過ぎてるとかえって体に良くないのは、オクラにかぎったことではありません。他の食材とのバランスを考えて適量を美味しく食べてくださいね。