オクラには、たくさんの効能があります。
なにより、おいしく色も形も綺麗なので、毎日の食卓に積極的に取り入れていきたい食材ですが、オクラは賞味期限が通常4~5日と短く、黒い色になったりしてしまうこともあるので、早めに食べる必要があります。
でも、忙しくてすぐに使えなかったり、買い過ぎて食べきれないこともありますよね?
そんな時のために、オクラの上手な保存法と賞味期限についてお伝えします。
冷凍保存する時の裏技や、解凍方法、そしておすすめレシピもご紹介しますので、是非最後まで読んでください!
オクラの栄養
オクラは、ネバネバ成分である「ペクチン」や「ムチン」を含み、鉄分・マグネシウム・カリウム・β-カロテン(カロチン)などが豊富な野菜です。
「カリウム」は、塩分の取り過ぎなどによって起こる、むくみや血圧上昇を抑える効果があります。
水溶性食物繊維である「ペクチン」は、腸の中で水分を吸収してふくらむ整腸作用のほか、コレステロールや血糖の吸収を抑える働きを持ち、特に酢と一緒に摂取するのがおすすめです。
「ムチン」は、糖とたんぱく質が結合した物質で、人間の涙・唾液・胃粘膜にも含まれているものです。胃酸から胃の粘膜を守る「バリア機能」があり、たんぱく質の消化を促進する作用があります。熱には弱いので、生で食べる方がより多く摂取できます。
オクラを生のまま保存する方法
常温保存
20℃前後の室温でも1~2日、20℃以上なら1日以内に使ってください。できれば避けたい方法です。
包んで冷蔵保存
新聞紙・キッチンペーパーで包む
→ジッパーバッグなどのビニール袋に入れる
→10℃程度の野菜室などに、ヘタの部分を下にして入れる(チルド室など温度が低すぎるところに入れると低温障害で黒くなります)。水分の多いものと一緒に置かないようにしましょう。
買ってから4~5日以内に使いましょう。だんだん黒い部分が増えることもあるので、早めに使い切って。
立てて冷蔵保存
コップや瓶などに少し水を入れる。
→オクラの茎を下にしてコップに入れる。ポイントは、茎だけがつかるようにすることです。フタやラップをして野菜室に。
賞味期限が少し伸び、5~7日保存できますが、黒くなることは避けられないので、やはりお早めに。
オクラを下処理してから保存する方法
下処理
ます、塩でもんで「うぶ毛」を取ります。
「板摺(いたずり)」という、塩をかけて、まないたで転がしす方法が紹介されていることが多いのですが、もっと簡単な方法があります!緑の網袋に入った状態のまま、塩を振りかけてモミモミするだけ。8~10本入りなら、塩は小さじ1杯くらいでOKです。
ここからは、茹でる、または、生のままで保存するかで変わってきます。
生のまま保存したい場合
- 下ごしらえの後、袋から出して軽く水洗いします。
- キッチンペーパーなどで、しっかり水気をとります。
- 茎を切り取り、ガク(茎の下の出っ張ってる部分)を、面取りをするようにグルっとむき取ります。
- ③でむき取ったすぐ上を切り落とします(種の入ってる部分が見えない位)。
- 必要に応じて、丸ごと、または使いたい形にカットし(スライス、斜め切りなど)、なるべく空気を除いてジッパー袋などに入れます。
- 日付をつけておきます。袋に書いてもいいのですが、再利用できるように、マスキングテープなどを貼るのがおススメ。
※柔らかいものの場合、気にならない場合、④は省略しても大丈夫です。
賞味期限は、冷蔵の場合、丸ごとだと1週間、カットしたものは3~4日。冷凍の場合、どちらでも1か月です。
ゆでてから保存する場合
下ごしらえの塩もみした状態のオクラを袋から出し、つまようじなどで表面に何か所か穴をあけて、ふくらみすぎるのを予防します。
沸騰したお湯の中に入れます。
固くシャキシャキ食感を残したいなら、緑色が鮮やかになるまでの30秒くらい、柔らかくしたいなら2分弱くらいゆでます。途中で上下をひっくり返しましょう。ちなみに、ネバネバ具合は固ゆでの方が強くなるので、お好みで選んでください。
ざるに上げ、すぐに氷水か流水で冷やします。
この後は、生のまま保存する場合の2から7と同じです
賞味期限は、冷蔵なら2~3日、冷凍なら1か月です。
電子レンジにかけてから冷凍する場合
- 下ごしらえの塩もみした状態のオクラを袋から出し、つまようじなどで表面に何か所か穴をあけて、ふくらみすぎるのを予防します。
- 電子レンジにかけます。30秒くらいかけたら様子をみて、お好みの固さになるまで再加熱します。
- 氷水か流水で冷やします
この後は、生のまま保存する場合の2から6と同じです。
賞味期限は、冷蔵なら2~3日、冷凍なら1か月です。
保存したおくらの使い方
基本的に、そのまま調理に使えます。
冷凍したものは、解凍すると水分とともに栄養成分も流れてしまいますので、例えば、味噌汁や炒め物などには凍ったまま入れてください。カットしたものを、薬味や彩りとして使う場合、自然解凍で大丈夫です。
オクラを冷凍する時におすすめの裏技
さて、今まで説明した冷凍方法は、一般的・スタンダードと言えますが、ここでは、とっておきの裏技を紹介しますので、しっかり読んでみてください!
ブランチング
「ブランチング」とは、いまや冷凍食品業界では常識となりつつある、「冷凍前の熱処理」のことです。冷蔵に向かないといわれていた食材(たとえばウニ)にも使うことができ、冷凍品質向上に役立つことで広く使われるようになりました。売られている冷凍の野菜・果物など、ほとんどのものに使われてるといっても過言ではありません。ものすごく短時間で熱湯にくぐらせたり、低温(60℃くらい)のスチームで蒸したりするため、「加熱処理」という表示がないものがほとんどです。ですから、はじめてこの言葉を聞いた方も多いのではないでしょうか。
ちょっと専門的になりますが、この「ブランチング」について、できるだけ簡単に説明します。
野菜・果物、今回で言えばオクラなどを冷凍する場合、水分が多いことがネックになります(水分8~9割)。凍るまでの段階で、水はふくらみます。そして、水の結晶が野菜や果物などの細胞を壊してしまい、解凍すると中の水分(ドリップ)が、栄養素とともに流れ出てしまうのです。
そこで、短時間に熱処理すると、細胞が柔らかくなり、冷凍に耐えられる力が強くなり、ドリップも出にくくなる、というわけです。
また、表面についている汚れを落とす、殺菌効果がある(100℃10秒で90%殺菌)、野菜や果物自身が持っている「酵素」の働きを抑え酸化を防止する、皮が固いものを柔らかくする、などなどメリットがいっぱいなんです。
これが、家庭でも簡単にできるとしたら、やらない手はないと思いませんか?
やり方は簡単!お湯にさっとくぐすだけ!10秒もあれば十分です。あとは冷やして水を切って~と、やることは同じです。これだと生感覚で冷凍して、あとは使う時に好きな柔らかさやネバネバ具合にできます。冷凍するなら、これからは是非「ブランチング」を!
金属トレーを使う
冷凍する時の問題は、もうひとつあります。
いくらブランチングをしたとしても、水分がある以上、どうしてもある程度細胞は壊れてしまいます。このダメージを低減するためには、できるだけ早い時間で冷凍状態にすることが大切なのです。ですから、工場などでは、急速冷凍ができる特別な機械で、-30℃くらいまで一気に冷やしているのです。
さすがに、これは家庭では無理!って思いますよね。家庭の冷蔵庫はせいぜい-18℃ですし。
でも、少しでも早く冷気を伝える方法はあります。熱伝導率(熱を伝える能力)が高い金属のトレーなどを使う方法です。特にアルミは熱伝導率が高く、なんと空気の30倍なんです。
ですから、アルミのトレーに野菜をのせて冷凍庫に入れればば、とても早く冷凍状態にできます。厚みのあるものは途中でひっくり返すのがポイント。凍ってから密封袋に入れましょう。なお、アルミ箔に包むとかえって冷気が伝わりにくいのでご注意ください。
百均のアルミトレー・バットを使ってもいいのですが、安いものでは1000円くらいからの「解凍トレー」がネットで買えるので、一枚持っていると重宝しますよ!
えっ?解凍トレー?と思ったかもしれませんが、冷凍・解凍どちらにも効果は同じです。百均トレー・バットの場合、下に割りばしなどを置くか、もう一枚反対向きで重ねるなどして、空間をつくるのがコツです。
おくらを小分けして保存する方法
ラップして小分け
時間と手間を惜しまない方は、おくらを使う分だけラップで包んで、さらに密封袋に入れましょう。ラップだと空気が入らないので、品質が落ちにくいメリットがあります。
製氷皿などで小分け
ラップは面倒くさいなあ、という方は製氷皿などに小分けして入れましょう。離乳食用などの冷凍小分けトレーや、百均のシリコン型も便利。シリコンは冷凍しても柔らかいので、おくらが取りだしやすくおススメです。
おくらの表面が冷凍焼けしたり、霜がつかないように、ラップに包んだり袋に入れましょう。
冷凍オクラは離乳食に便利
冷凍オクラは、離乳食にもピッタリ。
お子さんの食べる量に合わせて小分けして上手に使いましょう。
オクラは繊維も多いので、すりつぶしたりペーストにするのは大変。ですので、かむことができるようになった離乳中期(もぐもぐ期)から食べさせるのがおすすめです。
下ごしらえしたオクラを柔らかめにゆで、茎・ガクなど固い部分を切り落とし、縦半分に切ります。
それから種をスプーンなどでこそげ取りましょう。
その後、月齢に合わせた大きさにカットしてから冷凍してください。離乳食として使う場合、1週間程度で使い切るようにしましょう。
食べさせる時は、味噌汁やだし汁・豆乳など水分があるものに入れててかき混ぜ、とろみを出してあげると、お子さんも食べやすいようです。なお、オクラの種は離乳後期(かみかみ期)になってから、様子を見ながら食べさせてあげてください。
冷凍保存後におすすめのオクラレシピ5選
ネバネバミックス
オクラといったら、なんといってもネバネバ!という方は、ネバネバ食品をさらに加えて楽しみましょう。
おススメは、オクラに納豆・長芋(すりおろしでも角切りでもOK)・めかぶを混ぜて、ポン酢や麺つゆで食べる「ネバネバミックス」。
たんぱく質、でんぷん質、食物繊維がバランスよくとれ低カロリー。オクラは解凍しなくても使えます。
そのまま食べるもよし、ごはんに乗せるもよし、マグロなんかにかけたら最高ですね!わさびなどの薬味もお好みで。
白和え
白・黒すりごまに味噌や醤油を入れて混ぜ、オクラに絡める「ごまあえ・ごまよごし」も手軽でおいしいのですが、是非お試しいただきたいのが「白和え」。ボリュームもあり、低カロリーで満足感を得られます。
- 豆腐1丁(木綿でも絹ごしでもOK)
- 白いりごま大さじ4~5
- 砂糖大さじ2~3
- 塩ひとつまみ
- 薄口しょうゆ小さじ1
- みりん(電子レンジでアルコールを飛ばしたもの)大さじ4
- お好みで酢大さじ2~3
- 冷凍オクラお好みの量
豆腐を軽く崩す。水気を少なくしたい時は、キッチンペーパーで包み、ざるに入れ軽く重しをのせる。
豆腐とその他の材料をよく混ぜる。すり鉢やフードプロセッサーで混ぜると滑らかになる。裏ごしするとさらにクリーミーに。
食べる少し前にオクラに混ぜる。ふんわりと、まとわせるようにするのがポイント。
オクラと混ぜると、だんだん水が出てベチャベチャになってくるので、和えたものは食べきりましょう。
和え衣は、酢を入れたものは冷蔵庫で4~5日持ちます。冷凍する場合、2週間くらいを目安に。
肉巻き
スライス肉に塩コショウで下味をつけ、オクラに巻いて油を引いたフライパンで焼くだけ!横に切ると、星形のオクラがきれいに見えて、お弁当にもおすすめです。ベーコンやひき肉で巻いてもいいですね。
冷やしぶっかけうどん
冷凍うどんを耐熱皿に入れ、ラップをかけ電子レンジ解凍(2分くらい)し、軽く水洗いします。
そこに、冷凍したカットオクラ(解凍不要)・ツナ缶・かつおぶし・醤油・ねぎ・ごまなどをぶっかけるだけ!
5分でできます!オクラは少しずつ溶けながら、冷たさをキープしてくれるので一石二鳥?
煮びたし
急にお客様が来て、おつまみをださなきゃ!という時、おかずにあと一品ほしい時などに。
丸ごと冷凍していたオクラをさっと洗って耐熱皿に入れ、麺つゆ(濃縮タイプは水で薄めて)をかけます。
つゆは、オクラが半分くらい沈む程度の量で大丈夫です。
ラップをかけてレンジで温め(3~5分)、軽く混ぜたらできあがり。お好みで、かつお節、ミョウガ、しょうがなどの薬味をトッピングします。一晩冷やすとさらにおいしくなります。
オクラの賞味期限と消費期限
オクラの賞味期限と消費期限を整理してみましょう。
「賞味期限」とは、新鮮なものを買ってきてから、おいしく食べられる期間と考えてください。
「消費期限」というのは、痛みやすい食材に表示されるもので、「この日までに食べきってください」という意味です。つまり、賞味期限よりは長く、差し迫った期限といえます。
オクラの場合、生や冷蔵なら賞味期限より1~2日くらい後と考えてください。冷凍の場合、条件によって異なりますが、賞味期限より1~2週間ほど長くなるものの、霜がついていたり、干からびた感じだったり、変色していたら、消費期限が過ぎたと判断してください。
生オクラの賞味期限
- 常温保存では、1日程度。
- 新聞紙やキッチンペーパーに包み、密封袋に入れ野菜室で冷蔵保存した場合、4日から5日程度。
- コップや瓶などに茎部分を浸して、立てた状態で野菜室で冷蔵保存した場合5~6日。
下ごしらえしてから生で保存した時の賞味期限
- 丸ごとの場合、冷蔵は1週間、冷凍は1か月。
- カットしたものは、冷蔵で2~3日、冷凍で1か月
ゆでたり電子レンジで加熱した時の賞味期限
- 丸ごとのものは、冷蔵では1週間、冷凍では1か月
- カットしたもの、冷蔵では2~3日、冷凍では1か月
丸ごとのものは多少長持ちしますが、いずれにしても色が悪くなるのは避けられません。
なるべく1~2日のうちに食べましょう。キッチンペーパーなどを敷いた容器に入れ、出てきた水分を吸収させるのがポイントです。
オクラの保存方法まとめ
オクラの保存方法、解凍方法やレシピなど、様々なことについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
お買い物に行くサイクル、おつまみやお弁当・離乳食などの目的に合わせた調理など、皆さんの生活に合わせた上手な使い方をして、優れた食材であるオクラを楽しんでいただければうれしいです。