トマトは柔らかく皮も薄いので、デリケートで病気にもかかりやすく、そのため腐ってしまうことが多い野菜です。
トマトが腐るには様々な原因や症状がありますので、詳しく見ていきましょう。
また、見た目で傷んだトマトを見分ける方法や、傷んだトマトの使い方についても解説しています。
トマトが腐る原因
炭そ病
カビが原因で起きる病気で黒い斑点ができます。
最初は黒い小さな斑点ですが、だんだん中心から同心円状の輪のように広がってしき、へこんでいくのが特徴です。
湿気などにより症状が進むと、サーモンピンク色の粘液のようなものが出てくることがあります。
トマトの炭そ病は糸状菌というカビが原因で、人間の「炭疽病」とは原因菌が違うので、基本的には毒性はないと言われています。傷んだ部分以外は食べられますが、あまりおすすめできません。
褐色腐敗病
最初は淡い褐色の円がトマトの表面にでき、輪郭が褐色になります。
だんだんに表面がへこみ茶色に変色し腐っていく病気で、高温多湿の時に起きやすく白カビが発生することもあります。
尻腐れ病
高温や乾燥により起きる病気で、トマトの下半分が腐ってしまいます。
黒斑病
トマトの実の表面が黒くなったり、黒い穴が開いて腐ってしまう病気です。高温多湿で起きやすくなります。
糸状菌などのカビが原因で起きるので毒性はないものの、穴が開いたものは中に菌が入ってしまっているので食べないようにしましょう。
斑点がごく一部の場合切り取って食べることは可能ですが、味は落ちています。
カビの胞子が飛び散ってアレルギーの原因になったりもするので、捨てる時は袋に入れてきっちり口をしばるようにしてください。
灰色カビ病
黄白色の円に灰色っぽい輪郭線がある斑点が沢山できることがあり、これは「ゴーストスポット」と呼ばれています。
ちょっと怖い名前ですが、糸状菌が原因の病気で毒性はありません。
放置していると実を柔らかくして腐らせていくので、発見したら早めに洗って食べましょう。
トマト疫病
「疫病菌」というカビの仲間が原因の病気です。未熟なトマトがかかることが多く、売り場に出ることはあまりないと思います。
ややへこんだダークブラウン色の不規則な形の斑点が出るのが特徴です。
取り除いて食べることはできますが、あまりおすすめできません。
実についた割れ目・傷
トマトは生育中に水分を与えすぎたり、温度変化が激しかった場合、収穫が遅れた場合などに実が裂けてしまう「裂果(れっか)」という状態になってしまうことがあります。
また、トマトは皮が薄く実が柔らかいため、虫が入って穴が開いたり衝撃によって傷ついたりすることも多い野菜。
これらの割れや傷から水分が出ることでカビが生えたり、空気中の雑菌がついて腐ってしまうことがよく起こります。割れ目などに生えている黒カビは危険もあるため、念のため食べないことをオススメします。
水分
トマトの表面の水滴にカビなどの雑菌がついたり、高温多湿条件に長く置かれると、トマト自身の水分で腐ってしまうことがあります。
トマトには、とにかく水分は敵、と考えてくださいね。
完熟しすぎ
完熟トマトは美味しいですが、寿命が近づいていることにもなります。
はっと気が付くとグジュグジュになっていることも。味も食感も悪くなっています。もしニオイや味に異常を感じたら食べないようにしてください。
トマトの賞味期限
常温
トマトは夏野菜なので、14℃以下の冷暗所なら常温保存も可能です。4~5日くらいが賞味期限です。
また、冬場なら常温で7~10日くらい日持ちさせることができます。
基本的にトマトは湿気のない風通しのいいところに置くようにしてください。
ミニトマトは大玉より完熟に近い状態で売られていることが多いため、通常のトマトよりも賞味期限が短いです。
したがってとまとは常温保存での賞味期限は短めの2~3日と考えてください。ヘタからカビが出やすいため、基本的に常温保存はおすすめしません。
色が薄く未熟なトマトを買った場合、常温で置いておくことで程よく熟度を上げることができます。
これをトマトの「追熟(ついじゅく)」といい、柿などでよく使われる方法です。
10~25℃と幅広い温度帯で出来るので、完熟トマトを使いたい方は一度お試しください。
湿らせたペーパーで包んでから黒い布などで日光を防いで常温保存すると、色が濃くなり甘みや香り・リコピンなどの栄養がぐんとアップします!
トマトの状態や温度によって追熟日数は変わってくるので、観察しながらやってくださいね。

冷蔵
トマトの保存に適した温度は5~10℃です。冷蔵室では温度が低すぎるので、必ず野菜室で保存しましょう。
7~10日くらいが賞味期限です。
カットしたものは、空気に触れないようにラップをして1~2日以内に使いきるようにしてください。
ミニトマトの冷蔵時の賞味期限は、やはりちょっと短めの5~7日となります。
冷凍
トマトの冷凍保存は大玉トマト、ミニトマトどちらも1カ月が賞味期限です。
見た目で判断!腐ったトマトの見分け方
カビが生えている
白いフワフワした白カビや、薄い灰色っぽい斑点がある場合、洗い落とせる程度なら食べられます。
白カビが全面に生えていたら、中まで腐っていることがほとんどです。
表面が溶けたようになっていたり、ツーンとくるニオイなどがあったら絶対に食べないようにしてください。
黒カビは毒性があるものもあり見分けもしにくいので、基本的に食べないようにすることをオススメします。

表面がグジュグジュ
傷や割れ目にカビが生えていたり、縁や中がグジュグジュと崩れていたりしていたら中にまで腐敗が進んでいるはずです。
大きく切り落とせば食べられるかもしれませんが、美味しくないでしょう。
表面がシワシワ
大玉トマトの場合、皮だけが乾燥して中がグジュグジュになっていなければ大丈夫です。
ミニトマトの場合、もともと水分が少なめなので、パックのまま保存している時にしわしわに干からびてしまうことがあります。
パックに呼吸のための穴が開いている場合は気をつけてください。
ヘタの傷み
ヘタに白カビがつくことは多いのですが、実の方にくっついていなければ大丈夫です。
ヘタがカラカラに乾いていたり黒くなって枯れている時には、実まで傷みが進んでいるかもしれません。
また、ヘタが茶色になっている場合、灰色カビ病の疑いがありますが、毒性はないので大丈夫です。
色がオレンジに変色
完熟したトマトが傷んでくるとオレンジ色っぽくなってくることがあります。
これは全体に劣化している状態で、中の身がグズグズになってしまい、味も食感も落ちています。食べられないことはありませんが、美味しくないので加熱してソースやスープにして食べた方がいいでしょう。
果肉がぶよぶよ
全体がブヨブヨしている時はかなり劣化しています。酸っぱいようなニオイや発酵臭、ぬめりがある時には食べないようにしましょう。
トマトの芯腐れ
表面には異常がないのに、切ったら中の種や真ん中の白い部分が黒かった!これって腐ってる?と思ってしまいますよね。
まったくカビ臭さがなく、グジュグジュしている感じもないなら、トマトが完熟しすぎたり、雨が多い時期などに起こる状態なので大丈夫です。
見た目が気になるなら黒い部分を取り除いて食べてください。念のためニオイがカビくさくないか、必ず確かめて判断してくださいね。
腐ったトマトの味の特徴
かび臭い
ブヨブヨしたりグニャグニャしていたり、カビが生えているトマトは、まさにカビ臭い味がします。
美味しくないだけでなく、体にも悪いのですぐに口から出してうがいなどをしてください。もし、腹痛や下痢、嘔吐などの症状があったら、すぐに病院にいってください。
酸味が強すぎる
トマトにはもともと酸味がありますが、刺激のあるイヤな酸味が感じられるくらいだと、完全に腐っています。ツーンとくるニオイやヌメリもある状態でしょう。
ブランデーのような感じ
発酵したような、ブランデーなど香りのある蒸留酒を飲んだ時にアルコールがブワッと広がる時のような、なんとも言えない異様な味がしたら腐っていますので、すぐ口から出してください。
果肉がグズグズになった古いトマトや、皮がパンパンに膨らんだようなミニトマトでよく感じられるようです。
苦みがある
トマトの表面にヌメリや崩れがなくても、食べた時に苦いと感じられることもあります。
これは、「ソラニン」と呼ばれるもの、または「ソラニン」の類似物質であるステロイド系アルカロイド「トマチン(トマチジン配糖体)」によるものと考えられます。
「ソラニン」や「トマチン」は、通常、トマトの生育や熟成が進むにつれ減少していくのですが、熟成中に低温状態が続いたりすると、減らずに残ってしまい苦みになってしまうようです。
問題なく食べられますが、見た目やニオイなどで見分けられないのが難しいところ。腐っている時も苦みが感じられることがありますので、嫌な感じがしたら食べるのはやめてください。
傷みを防ぐトマトの保存方法
トマトのヘタは下向ける
ヘタには白カビの元になる菌が付着していることがあることは、前半の記事でもご説明しました。ですので、ヘタからの菌の飛散を防ぐために、必ずヘタは下にして保存してください。
また、トマトは水分が多く重みがある上、お尻部分の方が柔らかく傷みやすいので、ヘタを下にした方が断然ダメージが少ないのです。
そう言われれば、お店でパックに入っている時もヘタが下、お尻が上を向いていますよね。
常温保存時
10℃前後でしたら常温で保存できますが、この時のポイントは新聞紙などで優しく包んであげることです。
水分を程よく吸収し、直射日光なども防いでくれます。
冷蔵保存時
洗って水気をしっかり取ってからキッチンペーパーなどで包み、ビニール袋に入れて野菜室にいれてください。
トマトは低温を嫌うので冷気が当たりにくいところに置きましょう。
なお、水気をしっかり切らないとかえって傷みやすくなるので、すぐ使わない場合は洗わない方がいい、という意見もあります。
冷凍保存時
キレイに洗って水気をしっかり取り、必ずヘタを外してください。
丸ごと冷凍する場合は、皮がラップ代わりになるので、そのまま冷凍用袋に入れてもOK。
使う時に水に入れると簡単に皮むきもできます。
また、半解凍のシャーベット状態ですりおろしてドレッシングやソースに使うのもおすすめ。ミニトマトでも同じように冷凍できます。
また、カットしてから冷凍することもできます。
この場合は、解凍すると水分とともに栄養も流れ出してしまいますので、冷凍のまま料理に使ってください。
ドライトマト
大玉はスライスして、ミニトマトは半分に切って、クッキングシートを敷いた天板に間隔を開けて並べます。
予熱していないオーブンの低温(150℃)程度で2時間~半日かけて、あとはスイッチを切り予熱で放置します。
塩を振りかけると水分が抜けやすくなりますが、しょっぱくなるのでかけすぎにご注意ください。
バジルやタイムなどのハーブ、黒コショウ、オリーブオイルなどをかけても美味しくできます。乾燥具合にもよりますが、冷蔵で1~2週間、冷凍で1か月保存できます。
ミニトマトの上手な冷蔵保存方法
ミニトマトは大玉より水分が少なく、乾燥しやすいのが特徴です。
濡らしたキッチンペーパーをタッパー容器に敷いて、その上にヘタを下にしたミニトマトを置いて密封して冷蔵保存すると1週間以上持ちます。
また、同じくらいの日持ちでヘタを取らずに水に浸しておく方法もありますが、2~3日ごとに水を換える必要があります。
こまめに水を換えると2週間くらい日持ちさせることも可能です。
トマトの保存方法とはちょっと違う話なのですが、ヘタを取っていないミニトマトの場合、お弁当に入れるのはあまりおすすめできません。
特に長期間保存していたものは避けてください。
緑と赤の対比がキレイなトマトですが、ヘタから傷みが進むので気を付けてほしいのです。
見映えを気にする方は、葉っぱの形をしたピックなどもありますので、上手に活用してみてください!
傷んだトマトの使い方
ソース
傷んだ部分を切り取って不揃いになったトマトがたくさんある場合、崩れそうに熟したトマトを早く使い切りたい場合、トマトソースを作ってみませんか?
ミキサーにかけると早くできますが、ザク切程度の大きさでも大丈夫。
ミキサーにかけない場合、皮が気になる方が多いと思いますが、勝手に外れてクルンっと丸まりますので、その時点で取り除いてください。
皮と実の間にはペクチンが含まれ、ほどよいトロミをつけてくれるので、絶対煮込む時は皮も一緒にしてくださいね。実はリコピンなど栄養分も皮と実の間に一番あるんですよ。
トマトソースにするのは潰れたトマトでも形をごまかせるのでおすすめの方法です。
マリネ
ちょっと食感や味が落ちた状態でも美味しく食べられます。
玉ねぎや人参、セロリなどの香味野菜とサラダチキン・サラダフィッシュ、ツナと合わせてもいいですね。トマトは油と一緒に食べるとリコピンの吸収がよくなるのでオススメです。
アヒージョ
悪くなった部分を切り取ったトマトをスキレットなどに入れて、ニンニクのみじん切りとオレガノ・バジルなどのハーブ、たっぷりのオリーブオイルで熱々にしてどうぞ。キノコや魚介や鶏肉などを入れてもいいですね。
多少柔らかくなったり味が落ちたトマトでも美味しくなりますし、油と加熱によりリコピンなど栄養の吸収もよくなります。特にミニトマトがオススメです。
塩トマト
ちょっと柔らかくなったり味の落ちたトマトでも大丈夫。トマト2個(400gくらい)と、ニンニク1かけをみじん切りにし、塩40gとハチミツ40gと混ぜます。
半日~1日で食べられますが、5~6日おくと発酵して旨味成分グルタミン酸がアップし、さらに美味しくなります。
2~3週間は冷蔵保存できますし、多少食感が落ちますが冷凍も可能です。
いろいろな料理に使えるので是非お試しください!
トマトが腐るまとめ
真っ赤なトマトは食卓にいろどりを与えるだけでなく、リコピンなど栄養素も豊富で元気をくれる食材です。
でも、トマト自体は水分が多く、柔らかさもありデリケートで腐りやすい野菜です。その反面、条件さえ整えれば常温保存でも保存できることもわかりました。腐った状態は割とわかりやすいのですが、見た目に異常がなくても苦みがあったりすることも知ることができました。
トマトの傷みを防ぐ保存方法や、傷んだトマトの使い方もご紹介しましたので、うまく活用していろいろな料理を楽しんでくださるとうれしいです!
