甘柿と渋柿の違いと見分け方!同じ木に甘い柿と渋い柿が同時になる理由は?

甘柿と渋柿の違いと見分け方!同じ木に甘い柿と渋い柿が同時になる理由は?

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この記事では甘柿と渋柿の違いについて解説しています。

同じ木に甘い柿と渋い柿が一緒になるのはなぜなのでしょうか。

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目次

渋柿とは

まず、渋柿とはどのような柿なのでしょうか。

渋柿とは、その名のとおり「熟れても渋い柿」のことです。

渋柿の種類は、渋みの変化の違いで、更に2つに分類されます。

  • 不完全渋柿:種が入ると、種周辺の果肉の渋みが抜ける
  • 完全渋柿:種が入っても果肉の渋みが抜けない

ただし、不完全渋柿であろうと完全渋柿であろうと、熟果になっても渋みが抜けないのが渋柿です。美味しく食べるためには、渋みを抜く「渋抜き」という作業が必要になってきます。

また、渋柿には次のような品種があります。

  • 平核無柿(ひらたねなし柿)
  • 刀根柿
  • 紀の川柿
  • 甲州百目柿
  • 蜂屋柿
  • 富士柿
  • 愛宕柿
  • 西条柿
  • 身不知柿(みしらず柿)
  • 市田柿
  • 横野柿
  • 高瀬柿 など

中でも、平核無柿が生産量として一番多く、スーパーマーケットや青果店などで多く見かけます。

市販されている渋柿は、渋抜き処理がされているものが殆どです。

甘柿とは

次に、甘柿とはどのような柿であるかを説明します。

甘柿とは、「熟することで渋みが抜ける柿」のことを指します。

実は、柿はもともと全てが渋柿でした。突然変異で生まれた甘柿を品種改良をして、現代の甘柿に至ったという歴史があります。

甘柿の種類には、2つあります。

  1. 不完全甘柿:種の量が多いほど甘く、少ないほど渋みが感じられる
  2. 完全甘柿:種の有無に関わらず、渋みが抜けて甘くなる柿

不完全甘柿は、種の量によって渋みが左右されるため、通常は渋抜きをしてから店頭に並べられます。

また、甘柿には次のような品種があります。

  • 富有柿
  • 次郎柿
  • 松本早生柿
  • 御所柿
  • 伊豆柿
  • 陽豊柿
  • 太秋柿
  • 早秋柿
  • 輝太郎柿

中でも富有柿は、「甘柿の王様」と呼ばれる完全甘柿で、その人気から市場に多く出回ります。

渋抜きが必要な柿とは?渋抜きの方法とは?

渋抜きが必要な柿

さて、ここまでで渋柿・甘柿の中でも、次のものは渋抜き処理が必要であることをお伝えしました。

  • 完全渋柿
  • 不完全渋柿
  • 不完全甘柿

前述のとおり、市販されている柿は出荷時に渋抜き処理をするため、自分で渋抜きする機会はそうそう無いと言えます。でも、例えば知り合いや近所の方から、収穫仕立ての渋柿・不完全甘柿を頂く機会はあるかもしれませんね。そのような時、どのように渋抜きをすればよいのかを解説します。

「渋抜き」の方法とは?

柿の渋抜きには、干し柿にしてしまう方法と、アルコールや炭酸ガスを使う方法があります。

干し柿ではなく生の甘い柿を食べたい場合はアルコールや炭酸ガスを使って渋抜きする方法が良いです。

干し柿にする方法

ヘタを残して皮を剥いた柿をひもで結び、熱湯へ10秒ほどつけてから風通しの良い場所で重ならないように干す。

3日に1度ほど実を揉みながら、2~3週間ほどで完成。

アルコールを使う方法

焼酎などを柿のヘタ部分に塗り、箱や袋で3~4日ほど密封する。

炭酸ガスを使う方法

ドライアイスと柿を一緒の袋に入れて、日陰で3~4日ほど放置する。

渋抜きの中で一番手間と時間がかかるのが干し柿にする方法です。

しかし干し柿が好きな方、誰かにプレゼントしたい方には、手間をかける価値を感じるのでは無いでしょうか。自分で作った干し柿が完成した時の感動はひとしおのはず。

コストの面でも、自分で干し柿にする方が市販されている干し柿を買うよりはずっと安価に抑えることができます。

一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

一方で、干し柿ではなく生の柿を食べたい場合は、アルコール・炭酸ガスを使いましょう。どちらを使うかは、渋柿の量によって決めるのがオススメです。

少量の柿向きなのは、アルコールを使う方法。

少しの焼酎とビニール袋、という手軽な準備で行うことが出来ます。また、柿をたくさんもらった場合はドライアイスを使うのが楽です。細かい作業はせず、密閉するだけで渋抜きすることが出来ます。

なぜ「渋抜き」をすると柿の渋みが抜けるの?

ここで、渋抜きをすると柿の渋みが抜ける理由についてお話します。

柿の渋みの正体は、タンニンという苦味成分。緑茶のカテキン、ワインのポリフェノールなども、タンニンの一種です。このタンニンには、水に溶けやすいもの・溶けにくいものがあり、その違いが味覚へ影響します。

  • 水溶性タンニン:口の中の水分へ溶けだし、渋みを感じる
  • 不溶性タンニン:口の中の水分へ溶け出さないため、渋みを感じない

実は、柿に含まれるタンニンは、幼果では全て水溶性。
甘柿は実が成熟するとタンニンが不溶性へと変化しますが、渋柿の中に入っているタンニンはずっと水溶性のままという違いが生じます。

そこで必要になるのが、渋抜きという作業です。

この渋抜きとは、化学的に言えば「柿に含まれる水溶性タンニンを、不溶性タンニンへと変化させる手法」です。

すると、柿のタンニンが口の中に溶け出さなくなるため、渋柿も美味しく食べられるようになります。

よって、柿のタンニンは渋抜きによって「消える」わけではなく、「感じなくなる」だけなのです。

渋柿と甘柿、栄養や甘みに違いはある?

渋柿と甘柿の違いは実の成熟によりタンニンが不溶性へ変化するかどうか、つまり渋みが自然と抜けるか抜けないかの違いだと説明しました。それ以外の違い、栄養価や甘さに違いはあるのかお話します。

結論から言えば、実は渋抜きした渋柿の方が、栄養素・糖度は高いとされています。

栄養素の差を裏付けるのが、タンニンの含有量の違いです。タンニンは抗酸化作用があり、健康効果も高いとされている成分です。

渋抜き処理ではタンニンが消えるわけではないため、渋抜きした渋柿の方がタンニンを多く含んだまま口に入るのです。

また、甘さについて言えば、渋柿はとても糖度の高い果物です。

渋みで隠れがちですが、その糖度は20度前後。ほかの果実と比較すると、メロンの糖度は15~17度ほど、りんごの糖度は12~14度ほどが一般的で、渋柿の糖度の高さが伺えます。

渋柿を干し柿にすると、渋みと水分が抜けて、その糖度は50度にも達することがあります。

一方で甘柿の糖度は渋柿ほど高くありません。干し柿の材料に渋柿がよく使われるのは、「甘柿よりも糖度の高い干し柿が作れるから」になります。

同じ木なのに甘柿と渋柿が一緒になるのはなぜ?

甘柿・渋柿の違いは品種によるものだとお話しました。

しかし柿の場合は、同じ木に「渋みのある柿」「渋みのない柿」の両方が実ることがあります。また、昨年まで渋柿を実らせていた木が、突然甘柿を実らせる・・・といった話を聞いたことが有りませんか?

これらの不思議な現象は、どのような場合に、どうして起こるのでしょうか。原因について解説していきます。

同じ木に甘い柿と渋い柿が同時になる場合

不完全渋柿・不完全甘柿の場合は、種の付き具合、つまり受粉がうまくいったかどうかによって甘みが変わってくることが考えられます。

特に不完全渋柿は渋みが抜けにくく、種が出来てようやくその周囲の果肉が甘くなるという特徴があるため、種の入り具合は実の渋みに大きく影響します。

そのため同じ木でも、上手く種をつけられた柿、そうでない柿との間で、甘みや渋みに差が出てくるのです。

ちなみに完全甘柿は雌花だけを着けるため、種がありません。そのため、種による渋みのばらつきが生じなくなります。

渋柿が甘柿に変わることはあるの?

渋柿が甘柿へ、木の品種が変わることは勿論ありません。

しかし、渋い柿をつけていた木が、突然甘い柿を実らせるようになることはあります。

その原因は、今まで受粉が上手くいかずに種をつけられなかった不完全甘柿が、種をつけた場合です。

不完全甘柿は、種から渋を抜く成分が働いて、樹上で渋が自然と抜けるようになります。

同じく逆のパターン、今まで甘い柿を実らせていた木が渋い柿ばかりをつけるようになることもあります。

これが起きるきっかけを作るのは、雄花の存在です。雄花を多くつける柿の木が近くにあるかどうかで、受粉のしやすさが変わります。

「近所の柿の木が切られたら、自分の庭の木が急に渋柿になった」ということが起きたりします。

ちなみに不完全渋柿は、種が入っても渋みが抜けづらいため、不完全甘柿に比べて種の有無による渋みの変化を感じづらいでしょう。

甘柿なのに渋い味がする原因

甘柿も渋柿も、幼果には渋みを感じる水溶性タンニンが含まれています。

甘柿の場合は通常、実の成長と共にタンニンが不溶化し、渋みを感じないようになっていきますが、時にそれが上手く行かないことがあります。

甘柿の実に渋みが残っている場合は、主に2つの原因が考えられます。

  1. 不完全甘柿で、受粉が上手く行かなかった場合
  2. 寒さが原因で、実が成熟しきらない場合

まず1つ目は、不完全甘柿の場合に考えられる原因です。受粉が上手く行かなかった雌花は種をつけることが出来ず、タンニンが不溶化されないため渋みが残ります。

2つ目の原因は、収穫時期の気温が低い地方で起こりやすいものです。渋が抜けていくには一定の温度が必要なため、収穫前に気温が下がりすぎてしまうと、完全に渋が抜けない状態になります。

以上の原因から、甘柿なのに渋い味がするといったことが起こりえます。

甘柿と渋柿の見分け方

さてここまで甘柿・渋柿の違いをお伝えしてきましたが、目の前にある柿がどちらかを判断するにはどうしたら良いのでしょうか。

品種ごとに甘柿か渋柿かを覚えるのは、なかなか難しいですよね。ここでは一般的に言われている見分け方について紹介します。

見た目で見分ける

柿の見た目で見分けるためのポイントは、「形」と「種の有無」です。従来から、甘柿・渋柿には次のような特徴があるとされてきました。

甘柿

厚さのある丸い形、種があるものが多い

渋柿

先が尖った細い形、種が無いものが多い

見た目で見分けられるなら、柿を口に入れる前に判断が出来ますね。

ただしこの特徴も、昨今の品種改良で変わりつつあります。種のない果実のほうが喜ばれる傾向から、甘柿でも種の無い品種が多くなっています。

なので、一概にこの見分け方で正しく判断できるわけではありません。

切り口で見分ける

柿を切り分けた時、果肉に黒い部分があるものを見たことはありませんか?目の前にある柿を見分ける際に、この黒い部分(ゴマ)の有無を見る方法もあります。

切り分けた柿の断面に、黒い斑点(ゴマ)が見られる「ごま柿」。この黒い部分の正体は、不溶性タンニンが酸化して黒くなったものです。つまりタンニンが果肉内に溶け出していないため、「ごま柿」は渋みを感じない可能性が高いです。

ゴマの入り方は、柿の種類によって異なります。

不完全甘柿

種があるとゴマが入る

不完全渋柿

種があるとゴマが入るが、不完全甘柿よりは渋みが抜けにくい

一方で、完全甘柿はゴマがなくても甘い柿、完全渋柿は種があったとしてもゴマが全く生じない渋い柿です。総じて、切り口にごまが見られたら、甘柿である可能性がグンと高くなります。

分からなければ少し味見する

どうしても分からない場合の最終手段。柿の実をほんの少し、かじってみましょう。

ポイントは「ほんの少しだけ」にすること。もしも渋柿だった場合、一口が大きいほど、痺れるような渋みを強く感じてしまいます。

甘柿と渋柿の違いと見分け方まとめ

この記事のまとめをします。

  • 渋柿とは、熟しても渋が抜けない柿。完全渋柿・不完全渋柿どちらも渋抜きが必要。
  • 甘柿とは、熟すると自力で渋が抜けていく柿。完全甘柿は渋抜き不要。不完全甘柿は種の量によって渋みが残る。
  • 渋抜きはタンニンを不溶性に変化させる処理。渋抜きした渋柿の方が、栄養価や糖度が高い。
  • 同じ木で甘柿・渋柿が付く原因は、受粉にバラツキがある場合と、収穫時期の気温が影響している場合がある。
  • 甘柿・渋柿を見分けるには、見た目・ゴマの入り方を見る方法がある。最終手段は、ほんの少し味見してみる。

渋柿も甘柿も、美味しく食べることができる柿です。その違いを知って、選ぶ際の参考にしてください。

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